49 帰路
病院を出た。
後少しでミリルが帰ってくる。そう思うと嬉しかった。
久し振りに僕は家に帰ろうと思っていた。
実際は3日も経っていないのだが僕はまるで一年の月日が流れていたように感じた。
「着信音………?」
フェイムの転移ゲートへ向かう途中でいきなり着信音が鳴った。
携帯から出ている音だった。
僕はスマホを取り出した。発信者はラベル。
「聞いたぞ。ミリルさん、目覚めたらしいな」
「ああ。本当に良かった」
「で?用件はなんだ。これだけを言うためではないだろう」
「ああ。本件に移ろう。それよりも、路地裏に向かってくれないか」
「路地裏?何故だ」
「出来れば、聞かれたくない」
僕は言われたように路地裏に向かった。
壁を背にして再びスマホを取る。
「さて、何だ?」
「お前が倒した、あの男だが…………」
「我々のチームで解剖させて貰う事にした」
Hnrに解剖出来る設備なんてあったのか?
僕はこれまで何度かHnrのギルドへ行っているが解剖が出来る部屋はなかった筈だ。
「ああ、言ってなかったな。俺達とMgkは、共同攻略をすることにしたんだ」
「待てよ……対立してなかったか?」
「俺達は、もう和解してるぞ。今は、競い合う形で攻略してる」
「和解なのか、それは………?」
「いいじゃないか!」
「で、どうしたんだ?」
「いや、お前なら何か知ってるかなと」
「知らないよ………ローレウスの方が知ってるでしょ」
「………そうだな」
ラベルも今日は気が抜けてたみたいだ。そういえば、酒飲んでたな。酔ってるのかもしれない。
「別に俺は酔ってないぞ?」
「そうか」
「解毒魔法、アルコールも分解出来たんだな………」
知らなかった。解毒魔法と言えば、序盤は使えるけど後半は状態異常無効の装備で防げるから要らなくなる魔法だが、そんな使い道が有ったとは。
「そういえば、デュエル大会はどうなった?」
「いや………今回の件で、延期だ」
「延期か………ある意味、良かったのかもな」
「ああ、レベルか」
「僕、さっきから路地裏にいるが、どうしてここに来る必要がある?」
「聞かれたくないんだ。皆には、あの男の事を暴動を起こしたプレイヤーだと言ったからな」
「つまり、あの男の事を詳しく話していない?」
「ああ。時間が無かったからな」
「本当は、突入する気だったんだがな」
そうか。そういえば、ラベル達はあの男の存在を知らなかったな。そこに僕が出てきて、突入は取り下げられた訳か。
「さて、そろそろ切るぞ」
「ああ、じゃあな」




