48 病室にて
「さて、僕はもう行く」
「そうか。俺はもう少しここに居る」
「俺のギルドのメンバーだったからな………」
ザンジのギルドメンバーか。道理で、熱心に祈ってる訳だ。
僕は歩き出した。確か、ここから少し離れた場所にミリルが居る筈だ。
「ここか?」
白い建物だ。明らかに病院である。確か、二階の3号室と聞いた。
建物に入ると、涼風を感じる。
受付に並ぶ。やがて、僕の番が回ってきた。
「二階の3号室の方に面会をお願いしたい」
「お話は聞いております」
「どうぞ」
僕を怪しむような素振りも見せず鍵を渡してくる。
「ありがとうございます」
そう言って僕は二階を目指した。この病院には珍しくエレベーターが付いていない。だから階段で登った。
二階で3号室を目指す。3号室に着いた。
渡された鍵を鍵穴に入れて回す。
少しの合間があったが、自動で開くドア。
「お待ちしておりました」
「………医師の方ですか」
「一応、ミリルさんの専門医となっております」
専門医と名乗る女。側にあった机に座って向き合う。
「ミリルさんですが、今は眠っています」
「意識不明ですね?」
「ええ、残念ながら」
「目覚めそうですか?」
「ええ。目覚める事は確実です。ですが、植物状態になる可能性があります」
「どうしてですか?」
僕は植物状態になる事の理由を知らなかった。だから、今聞いておく必要がある。
「洗脳魔法は、途中で中断されると神経を大きく傷つけます。なので、脳との接続が絶たれてしまう事があるんです。再接続がされていれば良いのですが………」
「あのクリスタルか…………くそっ!」
僕は机を叩いた。ミリルをこの状態にさせたのは、自分であった。
「大丈夫です。最悪、魔法での治療が可能です。時間は掛かりますが………」
「そうですか………」
僕はうつむいた。今の状態に悩んでいたからである。
その時だった。ミリルのベッドからピーと音が聞こえてきたのだ。
「まさか…………!」
「安心して下さい。目を覚ました合図ですよ」
医師はミリルの側に駆け寄った。
「意識はありますか?」
ミリルが声に出さず頷くのを見ると医師は安心したように次の言葉を出し始めた。
「手を、動かせますか」
ミリルの手が動く。そして、医師は腕、足と続けた。
「良かったです………これで、植物状態の危険は無くなりました」
その言葉を聞いて、僕はほっと息を吐いた。
「後はリハビリだけです。もう大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
僕は医師に感謝しながら部屋を出た。




