46 フェイム防衛戦:3
「待ってたぜ!」
「ああ、待たせたな」
そう言ってリクは剣を抜いて男に向き合う。
剣の輝きが増しているように見える。
それに、剣の意匠も元の剣であるキャンサーとは違う。しかも、キャンサーの進化先であるブラーチアではない。俺は一度ブラーチアの姿を見た事がある。俺の昔いたギルドのマスターであるルウェイスが使用していた。ルウェイスがやけに気に入っていた剣だ。
ブラーチアではないとしたら、一体何なのであろうか。
まさか、もうひとつの進化先である剣なのか?
「時間稼ぎ、ありがとな」
「お陰で進化出来たよ」
「この剣、ナチュレ・ガラリオに」
視点:リク
剣の進化で僕のステータスは極限にまで底上げ出来たと言っていい。
ナチュレ・ガラリオは僕のレベルとかけ離れた適正レベルを持っている武器だ。1000万以上を対象とする剣だ。これで、あの男と対等に渡り合える。
「ガアアァァァ!」
男が一声吠えて拳を繰り出す。
早い、とても早い。少し前に戦った時とは比べ物にならない程早くなっている。
ただし、それでもドーピングの影響で拳の軌道は直線的だ。十分に避けれる速さだ。
今は攻撃には出られないが、やがて攻撃のチャンスは回ってくる筈だ。
向かってくるパンチを横に飛んで避ける。後ろから切りつけたいのは山々だがそれは諦めた。カウンターで拳を繰り出してきたら剣で受けるしかない。剣が強いので受けれるが自分へのダメージが高い。
「オオオオオオォォォォ」
更に強く拳が飛んでくる。
横に飛んで後ろからきりつけようとする。
今しかない。体制を崩したこの一瞬に。
剣を降り下ろす。まず腕。
腕を軽く切り飛ばす。そして一瞬硬直した瞬間に次の腕を斬る。流れるように足も切り飛ばす。
「よし」
男が倒れると歓声が上がる。
「やったぞ!」
「やったか!?」
念のため剣は抜いたまま向き合う。
捕獲するように言おうとしたとき、男が動いた。
「何だと!?」
周りのプレイヤーが離れる。
「くそ……何てこった」
ラベルの呟きが聞こえた。
男の手足が再生していた。
やがて再生が終わってしまい何もなかったように男が立ち上がる。
瞬時に飛んできた拳。反応しきれず剣で受ける。
そのまま弾き返し再び斬る。
今度は胴体を切断する。出来れば、再生しないでくれ………
僕の願望は届かず男の体はボコボコと音を立てて再生する。
再び男が立ち上がったその時に、異変は起きた。
「ウオオオオオオ………」
男が悲鳴を上げて倒れる。
一体何が起こったんだ?
「ドーピングの副作用だ!」
「今だ!」
僕は瞬時に近寄り男を再び切断した。
頭から首、心臓から足まで切り刻む。
「遂に、動かなくなったか………」




