45 フェイム防衛戦:2
「うおりゃぁぁ!」
威勢良く突っ込むプレイヤー達。
数十人のプレイヤー達に取り囲まれた男。もう逃げ場は無い。
俺もその中に加わる。
威勢良く突っ込むが、誰一人とも攻撃は出来なかった。
男の圧倒的なオーラに気圧されているのである。
「攻撃しないのか?」
「ならこちらから行くぞ」
一瞬にして男の姿が消える。直後、側のプレイヤーの一人に殴り掛かった状態で現れた。
「な、に………」
殴られたプレイヤーが地面に倒れる。
臓器がズタズタの状態で露出している。血も吹き出し、まるで内部から殴ったかのようだ。
「よ、良くもジョンを!」
隣のプレイヤーが剣を振る。
「甘い!」
振られた剣が砕けた。
それに呆然とする男に蹴り技を加える。
今度は先程のような事にはならなかったが蹴られた男は5メートル以上吹っ飛び地面に転がった。
「ひ、ひぃぃぃぃ!」
間近で見ていた男が腰を抜かして悲鳴を上げる。
それは隣のプレイヤー達にも伝搬していく。
「キャアアアア!」
「や、止めてくれ!」
「何でもする!何でもするから!」
中には土下座するようなプレイヤーも現れ出す。
男はそれを一瞥すると勢い良く回し蹴りを放つ。
神速の蹴りが命中して当たったプレイヤー達が一斉に吹っ飛ぶ。
「クソッ………」
何も出来ない。恐怖に身がすくんで動けないのだ。
俺がここで動けていれば、あいつらを庇うことも出来ただろうに……
俺は拳を強く握った。だが、恐怖に打ち勝つことは出来なかった。
「防御に専念しろ!攻撃を受けたら死ぬぞ!」
ラベルの号令で俺の硬直が解けた。
そして目の前の男が殴りかかる姿を見て受け身を取る。
周りのプレイヤー達は全員気絶してしまっているが、もう運ばれている。今残っているのは、俺を含む熟練プレイヤーだけだ。倒れた奴等を運んでくれたルーシーには感謝を言わざるを得ない。
「確かに攻撃は重いし、速さも尋常じゃない…………だが、ワンパターン過ぎる!」
「ドーピングで自我を失いかけているのだろう。見切れればそんなに強くはない」
「いつもやって来た事だ!熟練プレイヤー、舐めんなよ!」
口々に叫び自身を奮い立たせるプレイヤー達。
例え自分達のステータスを大幅に上回っていようと、自我を失った奴なら勝てる!
俺は自分の斧を担いで横凪ぎに振る。
背後から、しかも攻撃直後に一撃。流石に無傷とはいかず男の背に大きく傷が入る。
「舐メルナァ!」
直後に男のカウンター。だが、既に後ろに跳んだ所だ。大きく外れた攻撃の反動で体制を崩した男を別のプレイヤーの槍が貫く。
「ガアァァ!」
男が一声吠えて跳躍した。驚異の跳躍に呆然となるが、そんな暇はない。
男は、俺達を飛び越えて包囲を脱出すると駆け出した。
「しまった!町へ向かう気だ!」
駆け出す男を追って俺達も駆け出す。
「待て!」
入り口に向かって駆け出す男を追い俺達は追走する。
だが、急に男が止まり、俺達も動きを止めた。
「待たせたな」
「リク!待っていたぞ」
リクがそこに立っていたのだ。男が驚いて立ち止まる。
それ好機と俺達は入り口に回り込み封鎖した。
「入り口はここだけ………もう逃げれねえぜ!」
「コシャクナァァ」
「リク、気を付けろ!奴はドーピングアイテムを使用している!」
「分かってるさ!」
リクはそう言って腰の剣を抜いた。




