44 フェイム防衛戦
走る。やみくもに走る。
暗い水路の脱出口であるマンホール目指して走った。
気を失ったミリルを抱えて、びたすらに走った。
「待テェェェ!!!!」
「誰も待たないと思うぞ!」
後ろから追ってくる男を振り返らずに走る。
後少しだ。後少しでマンホールが見えてくる。
「ゲート?」
マンホールの横にゲートが見えた。ゲートの方が早く出れそうだ。
軌道を変更してゲートに走る。
「追い付いたぞ!」
「追い付かれたか……!」
ついに追い付かれた。ゲートまで後10メートルも無いのに……!
ゲートが開き始める。いきなり開きだしたゲートに驚いたが、人が通れる大きさになった時点で急いで通る。
男の大きな体ではまだ通れない。引き離すことに成功した。
「来たか!早く逃げろ」
ゲートの前で立っていたのはザンジだった。
「縁は切った筈だ!」
「そうもいかねえ!しかも、ギルドの依頼だからな!」
「……死ぬなよ」
ゲートの前の広場には合計六人。ゲートの前は中央公園である。逃げる分には都合がいい。
ザンジと共に少年と少女。恐らくこの二人がザンジのパーティーであったのだろう。
「追い付いたぜ!」
「待たせたな、我々も加わろう」
「ラベル、カイン、ルウェイス……」
「お前は早く俺のギルドへ向かえ!装備を整えてこい、それまで持ちこたえる!」
僕は再び走り始めた。ギルドホームへ向かって、走る。
視点:ザンジ
「行ったな……俺達は、それまで待つぞ」
ゲートはロックを掛けて開かないようにしてある。だが、内側からはゲートを殴る音が聞こえてくる。しかも、音が聞こえてくる度にゲートがへこんでいく。
扉を破られるまでに俺達は魔法で強化を済ませ、いつ破られても良いようにする。
今は既にギルドからの依頼で五十人のプレイヤーが集まっている。俺達の役目は、あの男を止める事。
フェイム内で起こった連続失踪事件。情報集めのプレイヤーがここまで推理してくれた事は良いが、リクのあの怪我……只者ではない。
「突破されます!」
「構えろ!」
ラベルの号令で武器を構える。その直後、轟音と共にゲートが吹き飛んだ。
「マジかよ………鋼鉄製のゲートだぞ!?」
そして男が姿を表す。目は血走り、腕の血管は張り裂けんばかりに浮き上がっている。
「ハア、ハア……面倒な物を出しやがって……お前ら、殺してやるぞ」
そう言って男は謎の錠剤を取り出す。そのまま水も無しに飲み干してしまった。
途端、男の纏うオーラが目に見えるほど強くなる。
「あれは魔力のオーラだ!」
「奴め、ドーピング錠剤を飲んだな………」
男が叫び出す。
「殺す、殺す、殺す殺す殺す殺すぅぅぅぅ!」
「殺シテヤルゾォォォ!!」
声が裏返り、オーラが更に強くなる。
「ダアァ!」
男の気迫と同時にオーラが爆発する。圧倒的な衝撃。俺達の体が宙に浮くほどの強さだ。
「怯むな!突撃しろ!!」




