43 脱出
「やったか………?」
強烈な疲れ。ルインクロックを使わずにあれだけの動きをすれば当然かもしれないが。
ミリルの側に駆け寄る。ぐったりとしている。机に乗っているクリスタルは、木端微塵に砕け散っている。クリスタルの中心部に鎖が繋がっており、その端はミリルの腕輪に繋がっている。このクリスタルが中心部になっていたのだろう。これが壊れた時に奴等が一瞬硬直したのは当然だったのだろう。
「おい、大丈夫か!?」
急いでミリルにポーションを飲ませる。ついでに腕輪に付いた鎖も破壊する。
「後ろ………」
「えっ……?」
何を言っているのか分からなかった。
直後、発砲音。
音が聞こえてきた時には僕は飛んでいた。振り返ってルインクロックを発動。
振り返ると、そこには一人の男。
再び発砲音。右足に強烈な痛み。避けれなかった……!
「誰だ………!」
「そちらこそ名乗るべきじゃないか?」
銃を構えたまま言う男。強い気迫を感じる。ただ者ではない。これまで戦ってきた誰よりも……!
「よくも計画を邪魔してくれたな」
「何の計画だ……!」
痛みに耐えて対話を続ける。僕の装備品である指輪アイテムは、高速回復のアビリティが付いている。じきに全回復する。どちらも銃を構えたまま止まっている。ただ、こちらは剣も構えている。いつでも首は飛ばすことが出来る。
「俺はこのギルドのマスターだった……」
「それはゲーム時代の?」
「ある日ギルドが二つに分かれる事件が起こった。そして俺はギルドマスターとしての地位を失った!」
「だからこうして復習するのだ!」
「洗脳が手段だと………」
「その為にも、お前には死んでもらう」
そう言って男は銃を構え直す。
僕はルインクロックを発動、相手の攻撃に備えた。
男が発砲する。
音が変だ……!これは魔法系の銃だろう。この発砲音はそれしかあり得ない。
早い!
魔法銃特有の高速弾。しかも、連続で発射出来る。弾は自らの魔力であり、魔力回復の方法さえ有れば無限の弾を発射出来る。厄介な銃だ。
しかも、ナイフも取り出してきた。動きが早い。ルインクロックを発動してこの速さ。元がどれだけ早いのか。
剣を振りかぶって腕に一撃。銃を持った腕に一撃。
ガキィンと金属音。何故だ……?
「どうだ?サイボーグの腕だ」
「サイボーグ……!」
サイボーグ。体を機械で構成する人間。恐らく、腕だけをサイボーグ式にしているのだろう。
こうなれば勝ち目は無い。攻撃を封じられたも同然なのだから。
ここは、逃げる事が最善であろう。
僕はミリルを抱えて逃げ出した。
「くそっ!逃げるなぁ!」
構わず僕は走り続けた。




