41 潜入
薄暗い地下道。下水を流しているようで水路がある。
だが、その水路の側に付いている通路には、無人機が徘徊している。この水路は、どうやら洗浄した後の水を流しているようだが、いくらなんでも無人機まで居るのはおかしいだろう。
この町はインフラ整備は整っているが、ファンタジー要素が強い。全くファンタジーとは関係のないロボットは居ない筈だ。
「来たか………」
独特の機械音が水路に響く。無人機が近付いてきているのだ。幸い遮蔽物は多く、身を隠すのは容易だ。
水路の壁のへこんでいる場所に身を隠す。だんだんと音が近付いてくる。
姿を現したのはメタリックボディの二足歩行ロボット。両肩にブラスターらしき機械まで取り付けられている。幸い、僕が見たことのある形式のロボットだった。
確か、このロボットはレーダーを搭載していないロボットで、視界のレンズに写らなければ気付かれない。ただ、音センサーはあったはずだ。確か、戦闘音に反応する筈だ。
ロボットが去っていく。恐らく、巡回ロボットだろう。いずれここに戻ってくる筈だ。早めにここを去る事にする。
まるで迷路のようになっている水路を進んでいく。本当に迷路のようだ。さっきからロボットを多く見掛けるが、同じロボットかもしれない。確か、迷路は右手を壁につければ必ずゴールに行けるらしい。早速やってみる。
「………ここか?」
ドアがある。後から付けられた物らしく壁にはヒビが入っている。
音が鳴らないようにドアを静かに開ける。中から光が漏れる。明かりがあるようだ。誰か人でも居たのだろうか。この水路は照明はあるがそれでも暗く、見通しが効かない。だが、この部屋の明かりはまるで昼間のような明るさだ。
ドアを開けてスキル「ハイディング」を使用する。魔法で偽装するスキルだ。看破は殆どされない。特にプレイヤーには、ハイディングをしているプレイヤーは殆ど分からない。一説ではダンボールを被ると更に偽装出来るらしいが、逆に偽装が甘くなりそうである。
「人が……居ない?」
中はオフィスのようになっている。パソコンが備えられ、警備をしているのが分かる。ロボットのカメラと同期した監視をしているようだ。監視カメラもあったようだが、偶然カメラを避けれていたようである。
誰も居ない。だが、先程まで人が居たようだ。デスクに置かれたコーヒーがそれを物語っている。まだ湯気が立っている。ここは本当の警備室かどうかは分からない。ただ、何処にも警備室と分かる物はない。
部屋を調べ始める。書類が積まれている。
表紙には「ギルド計画」と書かれていて、ページをめくると長大な文章が書かれている。
ここはギルドホームなのであろうか。それならば、警備ロボットを配置するのも納得だがこのような水路にギルドホームを作るのであろうか。
文章の一文目には、「ギルドを脱退したメンバーを連れ戻し、再び所属させる」と始まっている。確か、ミリルも前はギルドに所属していたらしい。だが、メンバーと意見が食い違い半々に分裂してギルドは壊滅したらしい。
まさか、ギルドに連れ戻すために誘拐したのだろうか。この世界には洗脳魔法の類があり、レベルさえあれば自由に洗脳出来た筈だ。
「おっと……ネズミが入り込んでいたようだ」
背後から銃のリロードをする音が聞こえる。カシャッと音を立てて僕に銃が向けられた。
咄嗟に腰の拳銃を抜き放ち振り替えって銃を向ける。
居たのは若い女。それが拳銃を持って構えている。少しの沈黙の内に僕は剣も抜いて構える。
「何が目的で誘拐した」
「勿論、ギルドに再加入させる為だ」
僕の言葉に冷静に答える女。ランキングを見ると、僕よりもランキングが下だ。油断しなければ勝てるだろう。
「ミリルを取り戻しに来たのか?」
「知っているのか……教えろ、ミリルは何処にいる」
「この部屋の反対側だ。だが、お前は行く前にここで死ぬがな」




