40 発信器
「おい………リクの奴、誘拐と決め付けているみてえだな」
「そうだな……リクはいつも、何かと悪い展開を予想する」
「最も、その殆どが当たってしまうのが皮肉だが……」
「そうだよなぁ……いつも当たりやがる……?」
リクの去った後、ラベル達は雑談していた。冗談も含めて話していたが、今カインの顔は悲壮感に満ちている。
「あっ……」
「カイン、どうかしたか__!?」
ラベルにもそれは伝搬し、更にローレウスにも伝わった。
「そうか……当たってしまう!最悪の予想が当たってしまう!」
「おい、こんな所で話している場合じゃねえぞ!早く追いかけるんだ!」
視点:リク
「待ってろ……今すぐ、迎えに行く」
街を猛然と走り、Hnrのギルドホームに滑り込む。
「逆探知について知ってるか!」
僕が受付に話すと、受付は怯えたように話した。
「あ、あっちです………」
腰を抜かしたように話す受付の男。
後から知った事だが、その時の僕は大層怖い顔をしていたそうだ。
受付が指差す部屋に向かって礼も言わず走る。
「……ここか!」
ドアを蹴破って部屋に入る。鍵が掛かっていたが気にしない。
「な、何だね君は!」
「ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!」
部屋に入ると一人の男が話し掛けてくる。
「逆探知の結果を見たい」
「えっ……でもあれは一般者には見せられな__」
「いいから見せろ!」
「は、はいぃぃぃ……」
男がパソコンの画面を見せてくる。典型的なオヤジ顔の男だが、身に纏う白衣のお陰で研究者のように見える。大方、魔法か科学系のクラスだろう。
ここで逆探知していて幸運だった。早速見せてもらう。
「ど、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
パソコンの画面を見詰める。どうやら、最後に発信が途切れたのはフェイム中央公園の端のようだ。一体何の意味が……?
行き先を考えていた僕に、男が話し掛けてくる。
「お名前を伺っても……?」
「リクだ」
「り、リク様でしたか!失礼しました!」
僕はこいつに様付けで呼ばれる筋合いは無いが、どうせラベルが見せるように言っていたのであろう。
「もう大丈夫だ」
「そうですか……では、失礼します」
僕は再び走り始めた。
フェイム中央公園の発信源に向かって。
辿り着いたのは公園の端の小さな広場。奇しくも、僕がミリルとコンビになった場所だ……
「………これは」
公園のベンチの下に落ちていたのは小さなペンダント。
確か、ミリルがいつも身に付けていたものだ。
恐らくこれが発信器の役割をしていたのだろう。
ペンダントの水晶部分に白い結晶が埋め込まれている。どうやら、これが発信器の発信部分だろう。偽装までしてあって、防犯能力は高い。
水晶部分は発信源ごと壊されてしまっている。フレームも割れている事を考えると、どうやら踏まれて破壊されたのだろう。ただ、焦げ跡が付いている。魔法で壊そうとしたのだろうか。やはり、誘拐の可能性が高い。しかも、このペンダントの情報を入手出来る程の強者。
このペンダントは特注らしく、裏側にミリルの名前と製造者の名前が書いてある。惜しいことに製造者の名前は掠れて読めない。……小さく僕の名前が書かれているのは見間違えだろう。
つまり、このペンダントの情報は限られた者しか知らないのだ。どこで情報を入手したのだろうか。
「………ここか」
マンホールの下に通路が延びている。しかも、警備ロボットまで配置されている。ただの下水道ではない………
僕は決死の覚悟で飛び降りた。




