39 失踪
「やっぱり、適正が4人居るとボスも簡単だな」
僕が呟くのを聞いて、ラベルも頷く。
「4人でこれか………やはり、フィールドは適正レベルが低いのか」
「そうだな………」
そして次の攻略に移ろうと思った瞬間、カインが叫んだ。
「あった!あったぞ!」
いきなり騒ぎ出すカインを見て、ラベルが呆れたように黙る。少しばかり溜め息も混ざっていたように感じた。
勿論僕も何事かと思って振り返る。そして、カインが握り掲げていたものは、一本の鍵だった。
「………鍵?」
「いやぁ、ホント探して幸運だったぜ!」
「こんな物に何の意味が……」
ローレウスは無感情に鍵を見詰めている。
「フィールドの向こう側にな、ダンジョンフロアあるだろ?あそこの鍵だぜ!」
カインの指差す先には空に伸びる塔。ダンジョンフロアに、鍵が必要だったのか……?
「でかしたぞ!」
ラベルが珍しくカインを褒め称える。
「ちなみに、鍵はどこに……?」
「えっ?」
「いや、鍵のあった場所だが……」
「ああ、心臓のど真ん中だぜ!」
心臓のど真ん中。つまり、あの鍵が血のように赤い理由は……
「取り敢えず、洗おうか」
「そうだな………」
カインから素早く離れる一同。
「そこに水辺があるから洗ってこい!」
「俺、またパシリかよ!」
「違う、責任的な事」
「同じじゃねえか!」
カインが洗っている間、僕はスマホで情報を集めていた。パソコンは勿論だが、スマホがある時点でもうファンタジーとはもう言えないだろう。
「何……失踪だと!?」
「どうした?何かあったか」
「ミリルが……失踪した」
「失踪?居ないだけだろう」
その頃の僕はそこまで危惧していなかった。
まあ、大丈夫だろうと思ってしまった。
「いや……彼女の持ち物である魔法機械の発信が途切れた」
「戦闘で壊れたのか?」
そう言って僕は言葉を詰まらせた。
「違う……確かミリルは単独ではあまり戦闘に行かない……」
「しかも、暫くレベリングはしないと話した……」
つまり、彼女は本当に失踪した可能性がある。
言って悪いがこのような場合殆ど誘拐だ。しかも、わざわざ通信機を破壊する……
計画的であるのか?
なんせにしろ誘拐の類で無ければ良いが……
「何だと?逆探知出来た?」
「待て、逆探知とは何だ」
「ああ、逆探知とは……」
「違う!まさか、ミリルを見張っていたのか!?」
「何故その発想に至る……」
「先程、彼女の発信が逆探知出来た。位置の特定もな」
「そうか……少し行ってくる」
「何処に?」
「勿論、助けに行くに決まっているだろう」
「せっかく鍵を洗ったカインには悪いが、先にロックを解除してくれ」
そう言い残して僕は駆け出した。




