2 町へ
外に出る勇気を固めた僕は、早速装備を固めた。
コートを着込み、アサルトライフルを準備する。
この装備はいずれもレベル100万台のプレイヤーにとっては最高クラスの装備だ。
「上級者」と称されるレベル300万以上のプレイヤーに対抗出来る、適正レベル280万の装備。
僕はレベル120万なので、これは適正装備ではないのだが、こんな謎の世界に飛ばされたのならわざわざオークションで落札した甲斐があったというものだ。
さて、改めて外に出る。
日も落ちかけており、辺りはオレンジ色に染まっている。
僕はもう一度町を一望する。僕のプレイヤーホームは町の外れの丘にあり、そこからは町が見下ろせる。
冒険街レクスに所属するこの町「メーラ」は、治安が安定した活気のある町であった。
その設定の通り、見下ろせる町は数々の灯りで照らされ、ここまでも声が聞こえてくる。
吹き抜ける風、辺りを照らす光。その現実感に、これが現実だと思わずにはいられない。正直、内心はこんな世界に来たかったと思うが、いざ来てみると困ることも多いようだ。
丘の坂を下り、町へ向かう。その途中には森が存在し、結構効率の良い狩り場として重宝する。僕も序盤は武器の素材集めで良く通ったものだ。
「お出ましか」
森に足を踏み入れて数分経過し、後少しでメーラに着くという所に魔物が現れる。
グルル、と威嚇してくるそれは、ジャイアントカウだ。
外見は普通の牛だが、3メートルもの巨体を持っている。
ゲームでは楽勝の敵ではある。だが、ここではどうなのかは分からない。
威嚇する牛に対して、僕は腰に吊るした剣、キャンサーを抜き放つ。
この剣はイベントボスである魔蟹キャンサーのドロップ品である魔蟹の鱗から作られる片手剣だ。イベントボスの名を冠するこの剣は、特殊効果として相手の身体を欠損させやすい効果がある。
僕は剣を構えた。勿論、それに反応して牛も突進してくる。
サイドステップで回避行動を起こすが、それは僕の予想とは違った物になった。
サイドステップで回避したのはいいが、最大の問題は、「飛びすぎ」だ。
僕の体は予想以上に大きな力を起こし、僕は4メートルも跳躍し側の木に激突してしまった。
激突と共に全身が軋むように痛む。
その痛みは想像を絶し、僕は倒れそうになる。
ふと目に止まった視界の左上の体力ゲージは、殆ど減っていない。
それもその筈、普通は骨折する速さで物体に激突したのにも関わらず無傷だからだ。
痛みに耐えて起き上がり改めて剣を構える。
「今度はこっちの番だ!」
構えた剣を振りかぶり敵に向かって降り下ろす。
剣は見事に命中し牛の足を根本から切り離した。
これで剣の事は分かった。
次は銃だ。背中に吊ったライフルと剣を入れ換える。
この銃はアサルトライフルだ。威力が高く重宝する一品。
僕は見よう見まねで銃を構えて照準を合わせる。
そのまま引き金を引くと、軽く反動が体に流れてくる。
轟音が鳴り響き、牛の頭を貫通しそのまま背後の木に銃弾が突き刺さる。
モンスターの体力ゲージは一瞬で吹き飛び無くなった。
本来ならゲージの消滅と共にモンスターも消滅するが、今消えたのはゲージだけだった。
ゲームとは違う仕様に驚いたが、この世界だからと割り切り死体は放置する。
もう町は目の前だ。
僕は歩き始める。




