35 ブラーチアじゃない
ガイアの清浄魂、その名を見て僕は驚愕した。自分が知らない素材名であったからだ。
僕が知らないとなると、余程レアリティが低いか高いか。
低い事は無いだろう。素材に示された「キングキャンサーの爪」等はまさしくレアリティに沿った素材である。つまり、その逆だ。レアリティが異常に高い素材なのだ。
キャンサーは自然系の武器であり、「ガイア」と付く素材を使うのは不思議ではない。だが、いくらなんでもコストが高すぎた。実際に進化させようとすれば高度な鍛治スキルを持つ者、あるいは自動鍛治機械が無ければならない。レアリティが高いと、それに比例して鍛治スキルの要求熟練度は高くなる。ここらの鍛冶屋では進化は出来ないであろう。
念のため、ラベルがガイアの清浄魂を知らないか聞くことにした。
「もしもし、ラベルか」
「何の用だリク、こちらは忙しいんだぞ」
「いや………"キャンサー"知ってるか」
「うん?イベント武器がどうかしたか」
「その進化素材……ブラーチア・カクリの進化素材を、知ってるか」
僕が聞くと、ラベルは得意そうに答える。
「キャンサーの爪15、自然の結晶10、進化の碑石3だろう?」
「なっ……」
聞いていた途中からもう既に声が出掛けていた。
「どうかしたか?」
「ああ、そうか素材だな?足りないのか、手伝う___」
「違う」
声に力が入ってしまった。出来れば感情を表面には出したくなかったのだが。
「違う?何が違うんだ?」
「素材だ」
「素材が、僕の見てる物と違う」
「おい……まじかよ」
「ガイアの清浄魂が、ここに表示されている」
僕がそう言った途端、ラベルが焦り出した。
「それは……レアリティ7だ」
「7だと!?ブラーチアは6のはず」
そこまで言って、進化パネルを覗く。
"ナチュレ・ガラリオ"。レア7。名前も、レア度も違う。良く見れば、カーソルが点滅している。触ると、さっき聞いたブラーチアの進化タブ。
つまり、最初から僕の見ていた場所は違ったのだ。
「ナチュレ・ガラリオ……」
「……新しい、進化候補なのか」
「ちょっと待て、調べてくる」
そう言われ 待つこと実に6分。
「掲示板に一件、あった」
「まあ、嘘だって叩かれてたけどな」
もしかして、他の武器も進化先が増えているのか?確実にキャンサーと同系列のイベントは確定だが、どうにも腑に落ちない。
「清浄魂、素材がウェーブ2フィールドで手に入るらしいぜ」
素材の素材………
ややこしいものだ。
「フィールドか……攻略ついでに集めるか」
「実際は、ボスのドロップ品だがな」
「うわぁ……またネームド狩りか」
「おいおい、止めてくれよ」




