29 ウェーブ1突破
情報に無い攻撃。それに混乱し、戦況は進まない。
生命力を吸い相手の体力は回復するが、こちらは生命力を吸われてHPを減らし続ける事になる。
このままでは、勝つことはおろか、全滅の危険性も有り得る。
だが、それを分かっていても僕は動けない。生命力を吸われている状態では、動けば更に吸われてしまう。オーラを振りほどければ話は別だが、そのようなことが出来るはずがない。
黒死竜、その意味を初めて理解した。
黒死病を知っているだろうか。多くの人類がそれによって命を落としたが、黒死竜とはその黒死病を振り撒く能力を持つのかもしれない。今は、生命力を吸われるに留まっているが、いつ致死性の能力を発揮してくるのか予想も出来ない。そんな攻撃は無い事を祈るが、この世界はゲーム時代の設定で動いている。ゲームには"死神"と呼ばれる追加効果があり、受けてしまうと耐性が無い限り即死と恐ろしい追加効果だ。敵専用でこちらは使えないが、ネフェリは敵だ。もし、オーラに遅効性のデスが付いていれば、もう僕達は抗うすべはない。対策は、聖属性の魔法である"浄化"等を使ってデスを無効化するか、防具によって軽減するか。
防具は準備していないので、頼るべきは前者だが、聖属性を使えるクラスはこのメンバーにはいない。
ーーー"聖女"への、クラスチェンジが出来るようです
ミリルの言葉が脳をよぎる。そうだ、ミリルが浄化を覚えていないとは限らない。
「ミリル、浄化だ!浄化を使え!」
咄嗟にミリルを見て叫ぶ。ミリルは、何故かオーラの影響を受けていない。理由は不明だが、効果を受けないのであれば魔法に支障は出ないであろう。
「浄化!」
ミリルの叫びと同時に白い光が流れ出す。
たちまちオーラが消えていきネフェリも光を嫌がるように後ずさる。
「助かったぞ!」
「さあ、形勢逆転だ!アタッカー班、追撃!」
「うおぉぉ!」
日頃の鬱憤を晴らすかのように突撃するアタッカー達。
勿論、ネフェリは反撃しようとするが、ミリルのコキュートスが動きを封じる。
圧倒的な早さでゲージが削れていった。
形勢逆転からは早かった。ネフェリのHPゲージがみるみる削れ、ゼロにまで押し込むのにそう時間は掛からなかった。
ネフェリが倒れ、消滅すると、ホールの天井から螺旋階段が降りてくる。恐らく、次のウェーブに進むための道だ。
皆が口々に称えあって勝利を実感しているが、それには目をくれず僕はミリルと共に階段を登った。
「この壁画、何でしょうね」
「さあ?見る限り、森と湖、平原の絵だけど」
螺旋階段を上りきった後の通路に描かれた壁画。
森、湖、平原が描かれている。
恐らく、次のウェーブのヒントでは無いかと思われる。
ウェーブ1は、街フロアはフェイムに似た街であり、ダンジョンフロアもイメージを崩さない迷宮であった。
恐らく、この壁画は、次のウェーブのテーマだ。
森と湖、平原。自然系のモンスターが多くなりそうだ。




