26 会議終了
「これからの計画だが、俺達はHnrとMgkを融和はさせない方針で行く」
その発言に驚いたカインが驚いて喋り出す。
「おい……二つのギルドが分断したままでは攻略の効率は下がるぞ」
「今、攻略トップ最前線は二つの派閥に分かれている。その分断の溝は深い。もう元に戻す事は不可能だ」
「なんだと……何故だ」
僕は前々から思っていた疑問を口にした。
「誰か、絶対的なリーダーが居れば統率は容易だろう」
「ふむ……そうだな。だが当てが無い」
「せめて、ランキングが100位以上のプレイヤーだな」
ローレウスが答える。
絶対的なリーダーシップ、力。
ゲームであった現実では、それが求められる。
ステータス、ランキング。それはこの世界の"力"。ステータスが一違う、それだけで大きな差が生まれる。
「ランキング一位であれば、簡単に統率出来るであろうが」
ローレウスの言うランキング一位とは、その名の通りランキング一位である。俗に"最上位"と呼ばれる事もあるプレイヤーだが、その名前すら不明であり、ランキングでも非表示になっている。
"全ステータスカンスト"、"全スキルマスター"、"全勝無敗"等と膨大な数の逸話が残る。実際、確認は不能であり真実かは定かではない。
そのアバターを見たプレイヤーはいない。「見れば即BAN」、つまり見たプレイヤーはゲームから追い出される、との噂が立つほどだ。一説では「運営のダミーアバター」とも言われる。
それほど謎に包まれた最強のプレイヤー。一部からは信仰対象として崇められるような存在でもあり、そのカリスマ性は非常に高い。全てのプレイヤーを導けるような者ではあるが、この世界でも確認はまだされていない。
居場所も不明なので、助けは期待できない。
「後は、この世界由来の人々か」
「軽く言うとNPCだな。今は普通の人間と変わらないようになっているが」
この世界の人々は、既に人間と変わらない知性を備え行動している。コンピュータ制御では不可能な動作もする。
「つまり、強力な奴を連れてくる?」
「ああ。設定では、このゲームで神やそれに類する者は高度な知性と非常に高い能力を持つ」
「それは、"降臨"とかか」
このゲームの降臨とは、神が出現するクエスト、ダンジョンの事を言う。適正レベルは高く、最難関は一億とかは普通になっている。
まさか、仲間に付けようとは思ってないだろうか。
「ああ、勿論仲間にする気は無いぞ。いくらなんでもモンスターや敵だからな」
「分かった。次は何だ」
「次は、また次回の会議で行おう。明日はウェーブ攻略だ。ゆっくり休んでくれ」
僕は席を立ちギルドホームを出た。
「……雨か」
「久し振りだ」
雨はゲームでも珍しく、たまにしか起こらない。ゲームでは雨が晴れた後の虹の下にレアモンスターが出る事で軽く騒ぎになったものだ。
まあ、現実となったこの世界では雨は厄介でしかない。僕はさっさと帰ることにした。今は1時。帰ってもそこまで出てから時間は経っていないだろう。




