23 試験運用
「で、何か出ましたか」
「"深淵の孤独者"てクラスが出てた」
「何ですか、それ」
「剣聖とスナイパーの複合クラスだと思うよ」
「上級クラス同士の複合ですね」
「ああ。じゃあ、試験運用がてらにネームド狩りに行こうか」
「簡単にネームド狩るとか言わないで下さい」
再び創造者の塔9998層へ来ていた。
ここにはネームドが一体確認されている。強さで言えば前の予行演習の時のネームドには劣るし、ミリルもレベル120万となり僕もクラスチェンジした状況では余裕であろう。
「大きいですね」
「……ああ」
まるで巨人のような体躯を持つドラゴンだ。ウェーブ1はドラゴンがテーマだ。ドラゴンが大量出現するこのウェーブには、素材目当てのプレイヤーが多く集まっている。ドラゴンの鱗は、属性軽減効果を持つ防具を作ることが出来る。そのため、多くのプレイヤーから必要とされている。このゲームは後半になってくると属性攻撃が強くなってくる。強い魔法も多くなり、時には極大魔法を使うモンスターとも出くわす事がある。この世界では、魔法以外でも属性が適用されるらしい。火災であっても炎耐性の防具で防げるのだとか。どのようにしてリアル基準のルールを作っているかは不明だが、それでも過ごしやすいようにはされている。
「ちょっと、新しく覚えた魔法使いますね」
「ああ」
「では、魔法で怯んだ所を攻撃して下さい」
「分かった」
「行きます……"コキュートス"!」
ミリルの手から放たれた冷気が瞬時に迷宮を氷で覆っていく。勿論ドラゴンも冷気の影響を受けて凍りつく。極大魔法を覚えたのか、と思いながらドラゴンに近づく。
「はあぁ!」
気と共に剣を降り下ろす。
氷を貫いてドラゴンに傷を付ける。
だが、氷はドラゴンの力で割れそうだ。
パァンと音を立てて氷が砕け散る。
近くにいた僕も氷の破片に襲われた。
「ルインクロック」
僕は新しく覚えた魔法を発動する。
時間が遅くなったかのような感覚。
氷も遅く飛んでくる。
体を動かそうとするとゆっくりと、それでも早く動く。
これが新しい効果か。これならやがて対峙するであろうミサイル搭載戦車のようなモンスター相手でも避けられるだろう。
そう言えば、このような効果はゲームではソロでしか出来なかった。今はミリルと動いているのでソロ以外でも使える事になる。
僕は氷を回避して露になったドラゴンの首を叩き割る。
実際には割ることは出来ず傷を付ける程度だったが。
ここでルインクロックの効果が切れる。
「避けてリク!」
ミリルの叫び。咄嗟に下に落下する。
直後僕がいた場所を電撃が通過した。
ドラゴンの頭を撥ね飛ばして消える電撃。
体力ゲージは頭の損失により圧倒的な速度で減っていく。
ゼロになった瞬間に僕達は動き出した。互いに健闘を称え会う暇もなく急いでドラゴンを解体する。死体は放置するとダンジョンに吸収される。それまでに僕達は解体を終えた。




