22 覚悟
暗い迷宮の祭壇が、ここのランクアップに必要な場所だ。
今、僕達はそこに足を踏み入れている。
「ここだ」
「不気味ですね……」
「祭壇なんてそんな物さ」
祭壇の部屋に入ろうとしたとき、僕は視線を感じた。
誰かが見ている?
「伏せろ!」
「は、はい!」
僕達が伏せたその場所をナイフが貫いた。
そして壁にガリッと音を立ててめり込む。
「まさか避けられるとはなぁ」
暗い祭壇に男の声が響く。
「出てこい!」
「……ここだ」
突如地面から溶けるように男が姿を現す。
奴は……まさか、あのナイフ男!
「久し振りだな」
「お前か」
「そうさ!昔お前にやられた俺は、今ここで復讐する!」
かつて僕はこの男に襲われたとき麻酔銃で無力化した。
男が言うように復讐しに来たか。それにしても、偶然ではあるがわざわざここで待ち伏せしていたのか?
スキルも強くなっているだろうしミリルは危険だろう。
「ミリル逃げろ!」
「は、はい!」
「させるかよ!」
そう言って男が七本のナイフをミリルに向かって投げてくる。
「悪いな。ミリルには手出しさせない」
僕は剣でナイフを弾く。
「そこで隠れてろ」
僕はそう言い残して剣を二本取り出した。
スキル二刀流。ここで使うのがこの世界では初めてだ。
いくら戦技が使えなくともスキルの効果で知識を得ている。
上級スキルの二刀流は、男の使うナイフスキルよりは強い。
レベル差があろうと押しきれるだろう。
「行くぞ」
僕は斬りかかる。
右、左。
垂直斬りからの両断。
「クソッ!」
流石にキャンサーの攻撃には耐えれないようで男が受け止めてキャンサーと衝突したナイフが砕け散る。
そのまま斬り続ける。
覚悟はもう決めた。悪であれば殺す事もする。
首に剣の刃が飛んでいく。
「ギャーッ!」
悲鳴と共に男の首が跳んだ。
血が吹き飛ぶ。
僕はリフレッシュのスキルで血を洗い流した。
死体はダンジョンに吸収されたようだ。
「終わったぞ」
「すいません、私のせいで……」
「良いんだ」
「さて、ランクアップしようか」
「その祭壇に立って」
ミリルが言われるままに立つ。
その途端ミリルを光が包み消えた。
「え、終わりですか」
「ああ、そうだけど」
「早すぎませんか」
「気にするな」
「あっ、クラスチェンジ出来るようです」
「したら良いよ」
「えっと……聖女、ですね」
「聖女か。クラスは何にしてたんだい?」
「神官と、剣聖です」
「なら、正常進化かな……実は、聖女なんてクラスは確認されていないんだ」
「えっ」
「まあ、良いと思うよ」
「じゃあ、やりますね」
再び同じ光が包む。
「終わりましたよ、次リクさんやって下さい」
「ああ」
祭壇に立ってクラスチェンジを確認する。
深淵の孤独者、のクラスチェンジが出来るようだ。
このクラス、意味不明だ。
剣聖とスナイパーの複合だろうか。
上級クラス同士の複合は珍しい。
僕は躊躇わずにクラスチェンジした。




