21 スライム木の枝ツンツン
「さっきの、確か……"フライパンゴーレム殴り"でしたっけ、何であんなにレベルが上がるんですか」
「あのゴーレムは、コアを打撃系武器で殴るとノックバック効果が発生するんだ。だから、攻撃力の低いフライパンで殴り続ければ経験値補正が入って異常な経験値が入るのさ」
「フライパンって、打撃武器じゃないですよね、まず武器にしますか?」
「……気にしないでくれ」
「それよりも、ミリルは武器スキルは何を上げてる?」
「えっと……細剣です」
「レイピアか……熟練度は?」
「799.1です」
困った。熟練度が低い。恐らくプレイ中に何らかの要因で武器を変えたのだろう。このレベルだと、武器を変えない限り熟練度が1000.0に到達しないことはない。
「じゃあ、予定変更だ。これに武器を変えて」
僕はそう言ってあるものを渡す。
「これ、木枝ですよね。ふざけてるんですか」
「いやいやいや、これはレイピア種の一番攻撃力が低い武器なのさ」
「これでまた、殴り続けるんですか?」
「そうだ。もっとも、ゴーレムじゃなくてゴーストだけどね」
「ゴースト、ですか……私、幽霊苦手です……」
「なら、スライムにしよう」
「えっ、スライムってあのプルプルした顔ついてる青い……」
「違う、それとは全く違う」
「ほら、あれ」
そう言って僕は指差す。
「……ボールですね」
「スライム」
「ボールですよね」
「スライム」
「分かりましたよ……」
僕が指差した先には、巨大な一メートル程の青い玉だった。
中にコアこそ内蔵されてはいるが、それ以外はただのボールだ。強いて言えば、大玉転がしの大玉か。
「中にコアがあるのが分かるかい?」
「これですよね?(ツンツン)」
いきなりミリルがコアを枝でツンツンしだした。
一応スライムのコアを攻撃できるだけのリーチはある。
「それを、今みたいにツンツンするんだ」
「それだけで良いんですか?」
「そうだよ」
「分かりました」
「ツンツンツンツンツンツン………」
「声に出さなくてもいいから」
「あっ、すいませんつい」
「ステータスを見ながらの方が良いかも」
そう僕が言うと、ミリルはステータスを開く。
「あの、凄い速さで上がってます」
「なんだって?どれどれ……ホワァ!?」
思わず叫ぶ。それもそのはず、細剣スキルの熟練度が目まぐるしく上昇しているからだ。
見れば、あり得ない速さでコアをつついている。これが原因か?
さっきと言い今と言い、ミリルの成長速度はとても早い。
「あっ、カンストしました」
「早っ!」
十分とかからなかった。もう熟練度が1000.0だ。
これで一部の高価武器も装備できる。
「さて、次はランクアップに行こうか」
「このスライムどうするんですか」
「放っておけば……」
「仲間になりたそうな目でこちらをじっと見ているんですけど」
「……分かった。自己管理な」
「分かりました、さあ行きましょう!」




