18 ghost fire dragon
「しゃ、喋った……!?」
ドラゴンが、喋った。
パーティーに動揺が広がる。
だが、パーティーのリーダーであるラベルは冷静に指示した。
「陣形を整えろ!タンク班、前へ!ヒーラー班、mシールド展開!」
焦りを感じさせない声で指示を出すラベル。当初は皆動揺していたようだがラベルの声に応じて陣形を整える。
「人の子よ、我を倒そうとするか」
ドラゴンの低い声が問い掛けてくる。
だが、ラベルはその問い掛けには応ずること無く攻撃命令を出した。
「それが答えか。さあ、参るぞ!」
ドラゴンが首を反らす。口から火の粉が舞う。あれは、炎ブレス攻撃か。
それに既に気付いていたのかラベルがタンク班に指示を出した。
「ブレスだ!構えろ!」
タンク班は盾を掲げ魔法を発動する。
盾を青い光が包む。あれは盾防御魔法、「シールドブロックアシスト」だ。防御力数値が瞬間的に上昇し盾による防御をアシストする魔法。
魔法の発動と共にドラゴンのブレスが放たれる。タンク班は耐えきれなかったようで一メートル程後退する。それでもダメージは受けていないようで、十分に守れるようだ。
すぐさまドラゴンの爪がタンク班に襲いかかる。
「クッ……」
だがそれでも流石の反応速度を見せブロックする。爪を大きく弾かれたドラゴンが体勢を崩す。今度はこちらの番だ。
「アタッカー班は攻撃!タンク班はアタッカー班の援護!」
ラベルの指示が飛ぶと同時に僕達アタッカー班は動き出した。
素早くドラゴンの後ろに回り込み切り付ける。
やはり殆ど斬った感触が無い。物理攻撃は軽減するか、なら魔法だ。
「エクスプロージョン!」
爆発魔法エクスプロージョンを発動する。しっかりと狙いを定めた魔法はドラゴンの背を貫き爆風が鱗を剥がす。
「グルァ!」
ドラゴンが吠える。
ドラゴンがこちらに振り向きブレスを放とうとするがヒーラー班の援護攻撃でそれは中断される。
漏れた光は聖属性魔法の「ホーリー」。
このドラゴンのようにゴースト系の敵には2倍のダメージを与える邪属性特効魔法だ。
再びタンク班にドラゴンが振り向いたのを見て僕達はドラゴンと距離を取る。
ゲージを見ると8%程削れている。削れては居るが最重要の尻尾は切り落とせていない。
僅かに切り込みが入っている。ゴースト系だからか血は出ていない。その代わり青白い靄が漏れだしていた。
何度かの攻防、ブレスと爪、尻尾をタンクが受け止めアタッカーが攻撃するループは既に全員が慣れてパターンになっている。時々魔法を打ち込んで来たりはしたがMシールドで防ぎ攻撃に転ずる。
「うおぉぉぉ!!」
ラベルが突撃し遂に尻尾を切り落とした。ドラゴンは大きく吠え威嚇するが一回リズムに乗った攻撃は止まらない。
ラベルに続いて他のプレイヤーも突撃しドラゴンの傷を加速させる。
ドラゴンの残り体力が一割を切る。
あと少し、あと少しだった。
皆は気付いていなかった。ドラゴンの声で周囲のモンスターが集まっていたことを。
そして、ドラゴンの下に魔方陣が現れていることも。




