16 予行演習会議
昨日の事件が有ってから、僕はHnrの連中を警戒せざるを得なかった。
幸い、僕が眠らした3人は「牢獄エリア」と呼ばれる場所に連れていかれたらしい。ゲームでも名は聞いたことがあるが、どうやらゲームの規則に反したプレイヤーを閉じ込める為の物だったらしい。違反プレイヤーはアバターの現在座標を変更され、2週間の間出れなかったようだ。
今は座標を変更する事は出来ない。そんな事が出来たら、真っ先に塔の最上階に飛んでいる。
どうやら眠らしたまま引っ張っていったらしい。相当苦労しただろうが、僕がザンジを運んだ時のように筋力パラメータが作用したのかもしれない。
話を戻そう。Hnrには、逃げた女達が残っている。いつ襲われるか分からない。
昨日の件もあり、Hnr派のギルドとMgk派の対立が深刻になっている。今日行われる予行演習でも、トラブルは起きるかもしれない。
僕は歩き出した。勿論、今日の予行演習の会場である9995層にである。
転移門を使い一気に9995層までテレポートする。
軽い音と共に転移した先では、既に大多数が集まっている。
ガヤガヤとした空間の中に、三つのグループがある。
HnrとMgk、カインのような中立派だ。
Hnrのグループの中に昨日の奴等が居ると思うとゾッとする。
僕は転移門に程近いベンチに座ると、ステータスを再確認した。
昨日とほぼ変わっていない。
昨日のあの事件以降はレベリングする気も起こらず直ぐに家で寝てしまったのだ。
スキルの軽業の熟練度が1000.0でカンストしている。
それ以外にも、いつ手に入れたか鑑定も入手している。
低レアの道具なら鑑定出来そうだ。
僕はスキルを確認していく。ゲームと多少違う部分があるが、大きな事では無いので無視する。
武器スキルに差し掛かった所で僕は手を止めた。武器スキルの効果が完全に変わっている。効果は、「その武器についての情報を入手」。僕の疑問が一つ解けた。僕は銃の仕組みは知らない筈だし、使い方も分からない筈だった。だが今は普通に銃を使っている。スキルのお陰で情報を手に入れていたのだ。pvpした相手の手慣れた手付きを思い出す。あれもスキルの効果だったようだ。
そんな事を考えていると誰かが近づいて来た。見ると、確かHnrのラベルとか言うマスター__Hnr!?
昨日の報復かと思い身構える。
「昨日はうちのメンバーが迷惑を掛けた」
「なんだ、報復に来たのかと思ったぞ」
「流石にしないさ」
「あれはメグラが主犯だからな」
メグラか。確か関西弁男がその名を呼んでいた筈だ。
「そうだ。彼女は情報収集担当だった。だがこの世界に来てからは集めた情報を使って略奪行為をするようになった。彼もあれに毒された」
彼とは恐らく関西弁男の事だ。てっきり彼が引き起こしたものだと思っていたが違ったか。
「取り合えず参加していた者は纏めて牢獄送りにしておいた。安心してくれ」
「………Mgkとはどうなった」
「手を組んでいる。今は俺とあっちのマスターで話を付けた。今回のボスも協力してくれるらしい」
「最も、パーティは分裂したがな」
ひとまず安心して良いだろう。だがこれからハイランカー達が攻略に参加し始めた時、ギルド二つはどうなってしまうのだろうか。創造者の塔は素材の質も、宝箱の装備も、経験値も十分に取れる。もしハイランカーが入ってきても十分に対向出来るだろう。
そんな事を考えていると、遂に予行演習の会議が始まった。
今回のネームドは「old fire dragon」、炎属性の竜だ。
ブレス攻撃以外は何も分からない。
初の演習だが上手くいくだろうか。




