15 pvp再び
「素材渡して貰おうか」
難癖を付けて素材を奪うやり方だろう。
逃げたいのは山々だが相手は八人。
逃げ切れる可能性は限り無く低い。
「カイン、逃げろ」
小声でカインに囁く。
気付かれてはいない。
「分かった。ちゃんと帰ってこい」
カインが後方の転移門に向かって走り出す。
呼び止めてきたパーティが追いかけようとするが僕が相手を止める。
「おおう?俺達に歯向かう気か?」
呼び止めてきた関西弁男とは違う男が挑発してくる。
「さあ、素材を出すんや」
「悪いがお断りさせてもらう」
勿論断る。素材は渡さない。換金でも使えるし死活問題なのだ。しかもネームドの素材だ。
「おっと、君最前線組だね。私達は"聖騎士団の誓い"のメンバーだ。死にたくなければ素材を渡しなさい」
後ろの女が呼び掛けてくる。
成る程、Hnrか。強硬派であるHnrのメンバーに絡まれてしまったのは少々厄介だ。
しかも"死にたくなければ"と言う辺り渡さなければ抹殺する気だろうか。
いや、ブラフだろう。脅して素材を奪う気だ。だが、手荒い事をしてでも奪い取ろうとするかもしれない。
よくよく観察すると、先程の男二人以外、残り六人は全員女だ。プレイヤーの性別割合は男の方が多いだろうが、何故だろうか。
いや、もしかしたら性別はアバターに揃えられるのかもしれない。本来の性別は違う可能性がある。
ともかく、警戒しなければいけない。
後ろ手でリボルバーに麻酔弾を込める。
気付いてはいない。お互い沈黙を保っている。
「言っとくがワイらはレベル150万やで!攻略集団にはワイらより高い奴は居ないって調べ終わっとるんや。戦おうとしても無駄やで」
「残念だったな。僕はレベル162万だ」
「な、何やて!?メグラ、情報は確かやって言ったとったやないか!」
動揺する関西弁男。
メグラと呼ばれた女の方を振り返り怒鳴っている。
恐らく情報を集めていたのだろう。残念ながら僕のレベルは言及していない。そして実は165万だ。
あちらも騙されていることになる。
「取り合えずこちらは八人やで!レベルは関係無いんや!死にたくなければ素材だしなや!」
男の声に反応して残りの七人が動き出す。
明確な殺意が感じ取れる。前のパーティーとは違う。
前襲ってきたパーティーは戦力を見せ付けて無力化するようだった。
だが今回のパーティーは真正面から殺そうとしてきている。
まず関西弁男が斧で斬りかかって来る。右手の剣で斧を受け止め、左のリボルバーで麻痺させる。
流れるように次の敵を狙い打つ。
何発かは当たらなかったが、敵全体を怯ませる程度の事は出来た筈だ。
「ちっ、強い」
「撤退しろ!俺が片付ける」
残りの中の男が叫び、残りの女が逃げていく。
後には倒れた二人と男だけ。
「よくもやってくれたな。覚悟しろよ!」
短剣を持った手が跳ね上がってくる。
僕は手を掴み投げ飛ばした。
「何っ!?」
「悪いが、眠ってもらおう」
倒れた男を銃で撃ち抜く。
麻酔によって眠った男を一瞥し、転移門から出てくる集団を見据える。
「無事か、リク」
「無事さ、カイン」
「それにしても、こんな犯罪まがいの事をしようとする奴もいるのか」
「Hnrだった。多分強硬派だろうな」
「分かった。無事で良かったぜ」
一段落着いたが、まだ残りの女が残っている。
早めに捕まえた方がいいかもしれない。
いや、これから先程のようなプレイヤーも増えるだろう。さて、どうしたものか……




