14 the ennsyennto dragon
第9990層。
創造者の塔のウェーブ1最後のエリアである。
出現するモンスターはドラゴン系。
そしてウェーブ1を通してのモンスターもドラゴン系である。
第二回攻略会議では、立ち回りの確認をするらしい。
正直、初見ボス相手に立ち回りも何も有ったもんじゃないと思う。
今の僕のレベルは162万。
来るべきボス戦に向けレベリングの最中だ。
ほら、こんな時にもドラゴンが襲ってくる。
ブレスを回避して即座に首を跳ねる。すっかり染み付いた動きだ。
倒れたドラゴンの肉や骨を取り出して魔法鞄にしまう。
ここはダンジョンの為放っておけば消える。フィールドでは消えないので有難い。
ここ最近はずっとレベリングを繰り返している。2、3万は上げただろう。もう少し効率は求めたいが贅沢は言ってられない。
ダンジョンの休憩ポイントに差し掛かり僕は足を止めた。
もうすぐ昼だ。休憩するのも悪くない。
休憩ポイントに入ると見知った顔が見える。
モジャモジャ頭に両手剣の彼は、ゲーム時代からの友人だ。名はカイン。
「おっす、リク」
「久し振りだな」
「相変わらずソロか、寂しいね」
「言うな」
談笑を交わしながら僕はパンを平らげる。
あちらもパンを食べていたようだ。
「お前さん、知ってるかい」
「何を」
「ギルド達が二つの派閥に別れようとしてるんだよ」
真っ先に思い浮かんだのは先日のHnr_聖騎士団の誓い_とMgk_魔法旅団α_の対話。
指導者をどうするかで暫し揉めていて、結局はギルドマスター同士で話し合うことになったらしいが、どうなったのだろうか。
「今のHnrとMgkは、完璧に別れている。新規参加組も重く見るか、古くからのベテランを中心に据えるか。そのどっちかの派閥に別れ始めてるのさ」
「攻略集団の二分割は重大だ。それだけで士気が下がるかもしれない」
「一応俺のパーティーはどのギルドにも属さない中立さ」
「バランスを保ってくれれば良いが」
「一応大丈夫そうだぜ、基本的に相互不干渉らしいからな」
「そうか……」
正直、不安しかない。攻略集団の分割は、相互の争いを生み出しやがて崩壊する可能性が有るのだ。
誰か全てを纏めてくれる人は居ないものか。
いや、そんな人は居ないだろう。
「そういえば、パーティはどうした?」
「女達が今日は用事があるって言うから今日はソロで来たのさ」
「ソロで大丈夫か?」
「ソロが言うことじゃねえだろよ」
ソロは危険性も高い。麻痺や毒で対処できない事もあり結構危険だ。その代わりアイテムや経験値を独占できるが。
パーティは3人程がちょうど良いとゲームでは言われてきた。
だが、この世界では二人の方が連携が取れて良いらしい。
この世界では戦技が使えない。どのようにしても発動はしなかった。勿論、他のプレイヤーも同じのようだ。
ここでは剣や斧等よりも銃が危険だ。頭を撃ち抜かれればHP残量に関わらず即死の危険性がある。
「リク、折角だからネームド倒していこうぜ」
ネームドは個体名を持つ中ボスだが、僕たちのレベルであれば大丈夫だろう。
ウェーブボスの予行演習にもなる。
僕達は駆け出した。
その先で出現したのは巨大な竜。
個体名「the ennsyennto dragon」、古の竜。
茶色の鱗に包まれた体。銃が効くか不安になる。
「行くぞ」
「オーケー、リク」
まずカインがドラゴンの注意を引き付ける。
その間に僕はライフルでドラゴンの目を撃ち抜いた。
ドラゴンのHPゲージが三本の内一本目が半減する。
目を撃ち抜かれ怯んだ所にスタン・グレネードを投げ込む。
強烈な音と光で相手を混乱させる武器だ。
「ナイス、リク!」
カインが両手剣でドラゴンの腕を切り落とす。
血が山ほど出るが気にしない。
ドラゴンはじたばたと暴れ始める。
退避、と叫んでカインを下がらせ次はもう一方の目を撃ち抜いた。
これで相手は失明、こちらを視認できなくなる。
尻尾が振り回され僕に当たりそうになるが失明の関係であまり鋭いキレは無い。
剣に変えて尾を切り落とす。次に口。
口に剣を差し込み両断する。
これでドラゴンのHPはゼロだ。
倒れたドラゴンをカインと協力して解体、素材だけ急いで取り出してしまう。
カインに伝えて直ぐにダンジョンを出ようとするが少し遠くに陣取るプレイヤー達が呼び止めてくる。
嫌な予感がするな。
「あんたら、あの中ボス倒したやろ、あのボスはワイ達の獲物や、抜け駆けは許さんで。素材置いてって貰おうか」
ほら、面倒な奴らだ。




