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リブート・オリジン  作者: とも
ウェーブ1:暗き迷宮
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13 第一回会議

 謎の声による宣告は、大きな混乱を招いた。

 創造者の塔なる謎のダンジョン、それのクリア報酬。

 誰もが帰還を目指し塔を昇ろうとフェイムに詰め掛けた。

 だが、創造者の塔の難易度は良い意味でプレイヤーを裏切った。

 最初の町フロアと町フロアの間_便宜上ウェーブ1と呼んだ_は、レベル80万からだった。

 そのお陰でレベルが高いハイランカーは殆どが攻略に参加しなくなり、僕達のような低レベル帯に攻略を押し付けられてしまった。

 幸い到達層がセーブされる事とランダムテレポートのお陰でさして苦労はせずボスフロアまで到達出来たものの、途中で死亡や撤退するものも多くまだボス攻略パーティは組上がっていない。

 ボス攻略パーティは100人であり、現時点で残る最前線攻略メンバーは僕も入れて82人しかいない。

 最初は300人以上も攻略に参加していたが、途中で死亡してしまったプレイヤーも多くここまで減少してしまった。

 原因は考えられる。

 恐怖だ。

 この世界は現実だ。痛みも感じるしモンスターとの戦闘もリアルだ。

 実際、僕の参加していた中間ボス攻略ではメンバーが巨大なボス相手に腰を抜かし殺されてしまった。

 僕も戦闘はこの世界で何回もしてきた。最初こそ飛び散る血や肉、内蔵に驚いたがもう慣れた。

 この世界に慣れてしまっているようだ。

 だが、真に恐怖を引き起こすのは死が現実だと言うこと。

 これまで死とは無縁の生活をしてきたお陰で死への恐怖は大きい。

 僕も内心では慣れているようで奥底には死への恐怖が有るのかもしれない。

 本来、ソードマジックの戦闘は何回もの戦闘を繰り返して敵の行動パターンを割り出して攻略するものだ。特に高難易度クエストでは初見攻略は不可能に近く、攻略までには何十回もの死が付きまとう。

 だが、この世界では一回死亡したら最後復活することはない。

 しかも、ゲームと違いモンスターはパターンで攻撃はしない。これまで僕も初見の行動で混乱しHPを半分切ってしまった事もあった。行動が分からない全てが初見の攻略である為更に死亡者が増えていった。

 82人にも低下してしまったパーティでは初見ボス相手には無茶と言ってもいい。レベル的な安全マージンに装備やスキルまで十分に取っているが、それでも初見相手はキツイ部分がある。

 そんな事情もあり"宣告の日"と呼ばれるあの声の聞こえた日からは一ヶ月が経っている。


 ザンジとはもうパーティは解消した。

 あの日集まったプレイヤーの中にザンジのパーティであったプレイヤーが居て、パーティを組み直したらしい。

 パーティーに誘われたが僕は断った。僕のソロにあいつらは巻き込みたくない。

 我儘で自分勝手な意見だがどうせ死ぬのは僕だ。何も問題ない。

 1月の16日。正月のカウントダウンイベントを経て到達した16日に、ある掲示がされた。

 28日にウェーブ1突破を行う。

 ただそれだけの文章にボスフロア前で会議をすると付け加えてあった。

 今日がその会議の日である。

 会議の会場はフェイム中央公園。

 メーラの町並みとはまた違う町並みが広がる。

 レンガで作られてはいるがメーラのように整っていない。

 ゲームで最初の町ではあるが、今となっては一番活気がある。

 今僕が居るフェイム中央公園は創造者の塔が一望できる。

 見上げても頂点が見えない程高い。

 明らかに外見と中が一致していないが気にしてはいけない。

 フェイム中央公園の中央広場で行うらしく、今はもう攻略集団の半分は集まっている。

 12時から始まるらしいが今は11時45分。

 もうすぐで始まりそうだ。

 ステータスを確認しながら待っていると、やがて中央広場の壇上に10数人の男女が出てきた。

 攻略集団には居なかった筈だが、新規参加組だろうか。人数が増えるなら良いが、どうなるだろうか。


 「ウェーブ攻略前に聞いて欲しい!」


 一人の男が叫ぶように言った。

 周囲のプレイヤー達の視線が集まる。


 「俺はラベル!"聖騎士団の誓い"のギルドマスターだ!」


 聖騎士団の誓い、か。

 聞いたことがないギルドだ。そしてラベルと名乗る男。強さは分からない。100万はレベルを越していて欲しいが。

 

 「今回の収集は俺が出した。今回は俺のギルドが指揮を取る」


 有り得ない。強さも分からない新参が、いきなり指揮を取ると言い出したのだ。セオリーでは、ある程度名の通ったプレイヤーが指揮を取る。

 今回のボスはこれまでとは違うのだ。甘く見ていては壊滅する危機がある。

 いきなり指揮を取ると言われても困る。

 どうやら僕と同じ意見を持つプレイヤーも多く、苛立っているプレイヤーも居るようだ。


 「発言いいか」


 遂に発言しようとする者が現れた。


 「まず名乗って貰おうか」

 「俺はローレウス。魔法旅団αのギルドマスターだ」

 

 魔法旅団α。

 名の通ったギルドだ。

 ギルドメンバーが殆ど魔法職業の珍しいギルドだ。本来はこのようなプレイヤーが指揮を取るべきだ。

 

 「何か意見が?」

 「いきなり指揮を取ると言われても困る。しかも新参じゃないか。信じられない」

 「俺はレベル150万だ。この中では一番高いだろう。俺が指揮を取るのが妥当だ」

 

 自信ありげにラベルが言う。どうせそれよりも高いプレイヤーは居る、と思っていたが誰も言い返せない。

 レベル80万がウェーブ1目標レベルなので安全マージンは取れている。

 レベルが高いなら指揮を取っても良いだろうと誰かが言ったとたんもう反発するものは居なくなった。

 最も、僕は160万なのだが。

 

 「さて、まずは今居るメンバーで班を作る!別れてくれ!」


 おっと、少し問題が発生した。

 ボス攻略では班を作るが、僕はソロだ。つまり、誰とも班を作れない。

 辺りを見渡すが、余ったプレイヤーは居ない。

 まあ、良いだろう。

 一人でも大丈夫だ。


 「よし、班は組めたか?役を割り振るぞ」


 十分近くで割り振りは終わり、タンク班が3班、アタッカーが4班、ヒーラーが3班となった。

 因みに僕は取り巻きが出たときの対処と一応アタッカーになった。

 第一回の会議は終了したが今回の件で今の"聖騎士団の誓い"、Hnrと今の"魔法旅団α"、Mgkの対立は深まっていった。

 後にこの二つのギルドが主体となり攻略集団は二分割されることになる。

 

 

 

 

 

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