11 初のpvp
ザンジを、周りのプレイヤーが取り囲んでいる。
ナイフを突きだしている奴も居るようだし、戦闘と見て間違いない。
ザンジはもう斧を構えている。攻撃してきたらやり返す準備は万全のようだ。
僕は狙撃銃を構えた。
照準のレティクルを警戒すべきドラグノフ改持ちに合わせる。
正直、ここで人を殺したらどうなるか分からない。
本当に死んでしまう可能性もある。なので、僕は今回麻酔弾を銃に込めている。
後は相手が攻撃してくるのを待つだけだ。
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「一人で彷徨くとはバカなやつだなあ!」
そう言いながらナイフを突きだしてくる男。
ランキング表示がある事からプレイヤーの筈だが、ナイフなんて持ったことも無いはずのプレイヤーが何故このように手慣れているのか。
突きだしてくる手はナイフを逆手に持ち、いつでも攻撃できる構えだ。
ナイフは血がベッタリと付いており、他にも殺しているのは明らかだ。
もう一人の腰には拳銃。シングルアクションアーミーであろうか。ロシア人のような風貌を黒いジャケットで隠している。
そしてもう一人はドラグノフ改であろう銃を構えている。背にはモシン・ナガンを吊り、明らかにスナイパーだ。何も感じさせない目がこちらを貫いている。
まるで大昔の潜入ゲームのキャラのようだ、と思いながら敵を確認する。
敵は五人。先程の三人を除くと、バルカン砲持ちが一人、レールガン持ちが一人。
レールガンは電磁波で粒子を加速して打ち出す。だが、それ故に7割は物理属性では無く雷属性だ。
分類では光学兵器であり、実はプラズマ防護フィールドで威力を減少出来る。
俺は防護フィールドは持っているため、レールガンはそんなに怖くない。
どちらかと言うとバルカン砲の方が厄介だ。まあ、それ以上にドラグノフ改の方が厄介ではある。
敵との距離は五メートル程で、至近距離の為に銃相手では不利だ。このゲームでは銃の弾道を予測する様なものは無い。さらに、部位によっては大ダメージを食らう事もある。この世界では殆どの現象は現実に忠実で、ダメージが一番その法則の修正を受ける。多分頭に弾を食らえば即死だろうし、ナイフで切られても死ぬだろう。ある意味ここでは一番現実らしい事だ。
「アイテムを全てこちらに渡すんだ。そうすれば助けてやる」
ロシア人風の男がこちらに問いかけてくる。
勿論、そんな提案には乗らない。構えてあった斧を強く握る。
「残念だ。やれ」
ロシア人風の男がナイフ男に言うと、ナイフ男は持ったナイフを構え、向かってきた。
「おとなしくアイテムを出せば、助かったのになぁ!」
男の叫びと同時に男の持つナイフが向かってくる。
ナイフを俺は斧の柄で受け止め弾き返す。
受け止め弾き返す、受け止め弾き返す。その繰り返しにも飽きてきたのか、ロシア人男が言葉を発した。
「もういい、俺がやろ___!?」
俺がやろう、とでも言うつもりだったのだろうか、ロシア人男がシングルアクションアーミーを構え、発砲しようとしたが、その行動は遮られた。
パァン、と軽快な男が響き、その直後弾丸が男の持つ銃とその後ろに居たレールガン持ちを貫いた。
レールガン持ちはバタッと倒れ、起き上がろうとしない。血も出ていないことから恐らく麻酔弾だ。リクが狙撃していると俺は一瞬で感じ取った。
立て続けにもう一発、今度はスナイパーを撃ち抜いた。
更にもう二発、後はロシア人風の男だけが残った。慌てているようだが身を屈めてスナイプを警戒しているようだ。
男はもう銃弾が飛んで来ないと感じたようでおきあがり、また別の拳銃を取り出した。
「俺のリロードはレボリューションだ!」
何かの真似をするように叫びリロードする。
早打ちは得意なようでリロードを済ますと直ぐに撃ってくる。
だが俺は斧で防ぎ逆に男に斬りかかる。
流石に回避されたものの動揺はしたようで体が硬直している。
そこを再びの銃弾が貫いた。
ビルの方を見ればレンズの反射だろうか、何かが光って見える。
俺は心の中でナイス、と呟いた。




