ザルバニトー
「ごめん。フィリア」
トァザはラザンノーチスの補助整備士達によって、私の下に運ばれた。
「……貴方のせいじゃない。暫く動かないで。輸血するわ。」
トァザは、酷い有様だった。
肩から先、膝から下。四肢全てを貫かれ、技巧は矛の持つ熱によって融解して溶け落ちていた。胴体と頭のみ。そして肋骨と腹部の二箇所にも刺突による穴が穿たれている。大量失血。恐らく霊素の消耗も激しい。
「……第二戦、ティカの意思は何も感じられなかった……」
「喋っちゃダメ」
「………僕達は勝たなければならない」
「分かってるから、話さないで」
「『無敗でなければ意味はない』」
「!」
強い言葉。トァザは動揺している私を叱責するかのごとく断言した。その言葉は、昔私がトァザに向けて放った言葉だ。
「……大丈夫だよ。フィリア」トァザが血の気のない顔で微笑む。
「ごめんなさい」
私は涙を拭い、第三戦に勝つ為、直ぐにスペアの技巧をトランクから取り出し、交換する。トァザの溶解した技巧を根元から取り外し、人工筋肉を取り外すと、新しい物に取り替えていく。
――落ち着け。私はジャンヌダルク家の娘だ。勝機はある。何か、何かあるはず……
「《ザルバニトー》だよ。フィリア…」
「……!? でも、あれは…」
「大丈夫。今の君になら扱える。今の状況は僕等にしか変えられない。…僕等なんだ。フィリア。」
闘技士と技巧整備士でなければ戦争は止められない。私は覚悟を決めて『円卓』に3時間のメディカルタイムを申請した。




