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第一戦


 『円卓』闘技場は堅牢な人工黒曜石で構成されている。この星に現存する物質の中で唯一無二の硬度を持ち半永久的に傷つくことはない。そこに2人が向かい合う。


 第六国家ラザンノーチスの無敗の黒き闘技士とうぎし、トァザ。その面持ちは穏やかである。

 対するは第八国家ラバニスのティカ。その素性は明らかにされていない。


 闘技士から半径300メートルの範囲を防護壁が展開し、外側に技巧整備士ぎこうせいびし席、上の階層に観戦席という形である。来賓席や国王の観戦席は離れた場所にあり、上空のドローンから中継を見守る。


 スピーカーから開戦のアナウンスが流れる。


《第一戦》

《現時刻より『円卓』は開戦しました。》


 しん……。と、残響が溶けてゆくうちに会場は先程までの雑談を止めて無音になる。

 闘技士は互いに微動だにせず、全員の視線を静かに受け止めていた。闘技士の霊素が静かに息を潜めて、好機を伺う。私たち人間には、この光景はいつも不思議な光景で、まるで二体の彫刻を眺めている気にさせられる。しかし、次の刹那にはその視線全てを置き去りにして動き出す。


 先手はトァザだった。

 トァザの技巧による鉄拳一つでティカを連れ去る!


 ゴウゥゥゥゥゥン……


 防護壁を打ち鳴らし、透明な壁がたわんで、音叉のように音が響き渡る。それが本当の開戦を知らせるゴングであるかのように。


 ティカはすぐに体制を立て直し、空中で身を翻すと、かかと落としを繰り出し反撃。トァザは後退してやり過ごすと、接近するティカのその細い腕で貫かんとする貫手を手の平で払い除けて頭突きを繰り出す。ティカは頭突きをスウェーバックで躱し、その流れで右膝蹴りと左脚サマーソルトキックを繰り出す。それらはいずれも空を切り、トァザは距離を取る。ティカは足技のキレがいい。


 トァザが回避でやり過ごすのを察するに、足技がメインなのだと予想される。

 そしてトァザが再び距離を詰める。ティカの右膝の技巧が展開して蒼く光る刃が飛び出し武器が形成され、膝蹴りを行い迎撃する。トァザは右手の技巧を展開してパイルバンカーを掌から打ち出し、ティカの右膝を砕き、体勢を崩したティカの左脚も手刀で切断した。

 両脚を無力化し、頭を掴み再び防護壁に叩きつける…!


 バゴンッ!


 呆気なく、第一戦の決着がついたことを、防護壁の衝撃が告げる。

 ラバニス側の防護壁。観戦席付近にティカは倒れていた。その上にトァザは立ち、静観している。

 ティカの両脚は技巧の人工筋肉とワイヤーの神経が千切れており、防護壁に叩き付けられた衝撃が補助脳に異常をきたしたのだろうか、動きを止めている。


 観戦席が状況を理解するとラザンノーチス席から地鳴りのような歓声が湧く。


『……こんなもんか?』


 私のインカムからトァザの会話音声が届く。どうやらラバニスの闘技士ティカに向けて放った言葉らしい。


『……いえいえ、御安心を。まだ出力は25パーセント』


 その声はティカではない。アンダーの声だった。ラバニス技巧整備士席から飄々とした声が聞こえる。


 ドローンが戦況を確認して、第一戦が終わりを告げる。

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