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午後の『円卓』 2


 午後2時。『円卓』の外周を囲む円形の観戦席を眺めること数分。厳かな緊張が会場を包む。その生暖かい風の中でひしひしと不穏な気配を感じる……敵だ。


 屋敷に篭って作業をして生きていた私は、あまり視力がよろしくない。傍に置いていた手提げ鞄から度の強い眼鏡を掛けて、右のつるに付けられた簡易レンズを望遠に切り替えて覗く。


 観戦席の下にある技巧整備士ぎこうせいびし席。闘技場を挟んで向こう側、二人の歩く姿が見えた。

 前を歩く男は技巧整備士純粋だと一目見てわかる。

 背を伸ばし胸を張って高級なジャケットに身を包んでいるが本来は身嗜みを気にする性分ではないのだろう、本人に似合っている感じはあまりしない。


 後ろを歩く人間は闘技士だ。技巧以外の飾りは全て取り払われた服。そして身体の技巧四肢化。しかし……


「驚いた……」私は少なからず衝撃を受け、高揚する気持ちを隠さずに呟いた。


「どうした?」トァザは私に訊ねる。


「いや、少女だからさ」


「少女?」


 トァザはその緋眼ひがんを凝らして見つめるが、目は技巧ではなく生来のものなのでこの距離では見えないだろう。


 私は懐中時計を取り出して時刻を確認する。


「2時半に両者挨拶。……さて、闘技場に行こう」私はトァザの技巧の手を取り立ち上がる。

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