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君が教えてくれたもの

作者: クイトガ

2000字以内のショートショート形式となっております。

試しにと思い、セリフのみで書いてみました。よろしくお願いします。

「お前いつもここに居たか?」

「うん……」

「はー。そりゃ気付かなかった。……にしてもどういう理由で放課後の教室に居るんだ? お友達とファミレスでも入っておかしく楽しくやって来いよ。馬鹿みたいにはしゃいで、さ」

「いや……いい」

「そうか……。ってどうした? この世に絶望したような顔してよ。笑った方が楽しいらしいぞ。見てみろよクラスの鶏どもを、いつも騒いで楽しそうだろ?」

「そういうあなたは風見鶏みたいね」

「どういう意味だ?」

「いつもクラスを鳥瞰(ちょうかん)して、つまらなさそうにしているところ」

「はは。うまい例えだな。でも風見鶏は風に流されるが、俺は空気には流されないぞ。あんな奴らと作り笑いを向け合うことなんかしないな。所謂(いわゆる)孤高ってやつだ」

「それはあなた自身が空気みたいなものだからじゃないの?」

「それを言うな。自分でも分かってんだから。さびしいとは思わないけどな」

「…………」

「…………」

「…………そう」

「……ああ」





「お前幽霊みたいだな。いつも無表情だしよ。お前、クラスでも目立つ方じゃないだろ?」

「良い例え……。ぴったりだね、空気に溶け込む風見鶏さん」

「無表情で嫌味言うなよ。……ところでどうして今日も青春の空費をしてんだ? 俺と放課後一緒に居るほどつまらないことはないだろ」

「うん。そうだね」

「否定しろ」

「でも一人よりはまし……。一人でいるよりは……」

「ん? それならさっさとここから出て行ってお友達とでも遊びに行って来いよ。楽しいぞ。へつらい合ってな」

「私友達いない……」

「ふーん。そりゃ、お気の毒に」

「ねえ。友達って何?」

「お前知らないのか? ……友達ってのはな。相手の目を見て迎合してへつらって、巧みに騙し合う関係のことだよ」

「あれ? 私が聞いたのと少し違う?」

「違わねえよ」

「目を合わせて楽しく話したら友達だ、ってテレビで言ってた……」

「だからそこに裏があるのが友達の本質なんだよ。それも真っ黒のな」

「…………」

「ん? どうした急に黙り込んで」

「私たちって友達?」

「んなわけないだろ。お前の友達理論と微塵もかぶってねえよ。それに俺たち今まで一度たりとも目を合わせてねえし、楽しくお喋りもしたことないだろ」

「……そう、かな?」

「ああ。そうだよ」




「結局、お前一週間ずっと放課後この教室に居たな」

「うん。そうだね」

「…………」

「友達と遊んで来い、って言わないの?」

「俺もそこまで薄情な人間じゃねえよ」

「そう……」

「……そう、って……お前常時つまらなさそうだな」

「あなたに言われたくない」

「俺はいいんだよ。俺が望んだ結果だからな」

「そう、なんだ」

「ああ……。ほら窓から見てみろよ。あの鶏ども今日も暑苦しいセリフ吐きながら、校庭走ってるぜ。何が楽しいんだろうな」

「少なくともあなたと私よりは楽しそう……」

「そうか? それは表面上だけだよ。重要なのは裏だ。裏が人を騙し騙される」

「表面上だけじゃだめなの?」

「駄目なわけじゃないが。ここぞという時に裏が出るから怖いんだよ」

「そう……」

「お、おう。……ってか、そう、って会話ぶった切るのに便利だな」

「…………」

「…………」

「…………ねえ一つ訊いてもいい?」

「何だ? また友達がうんたらか?」

「いや……違う」

「ならなに……」

「お別れってさびしいと思う?」

「友達並みに面倒くさいじゃねえか……。まあ答えとしては……。思わない、だ」

「でも……テレビでは……」

「そいつに倫理観を語らせたらでたらめしか言わないから信じない方が良いぞ。……別れなんて付き合う人を変えるだけだ。そうだな……。お友達、なんていう素晴らしい関係ならさびしいんじゃないのか?」

「そう、なんだ……」

「? お前なんだって急にこんな質問を……。まるで消える前兆をほのめかしているみたいな……」

「そうなんだ……。ならいいや……」

「は?」





「おい。お前こんなところに居たのか」

「担任でしたっけ?」

「おいおいそれは無いだろ。私のクラスのМ君」

「あんたも覚えてないのか……。俺のイニシャルМじゃねえよ」

「そうだったか? だが、そんなことはどうでもいい。お前にガールフレンドからお手紙だ」

「ん? 誰ですかこれ?」

「あいつだ。いつも無表情で物静かな子」

「手紙って……。その子は?」

「転校したよ」

「……っ」

「昨日の夜に急に言い出してな。あいついつも一人だから友達いなかったのかと心配してたんだよ。良かった。お前あいつと友達だったのか?」

「い、いや友達でも何でもないですよ。目を合わせたことも楽しくお喋りしたことも無かったですしね」

「そうか……。まあ、そいつは確かに渡した。ならじゃあな」

「…………」

「ったく、なんだってこんな面倒なもの渡して……」


『嘘つき』


「………っ。本当だな。……友達でも何でもないはずなのに。さっきから胸が痛くてたまらねえ……」



 《了》

読んで下さった方ありがとうございます。

試しにと思い、セリフのみで書いてみた今作ですが、読みづらいや分かりづらい、といった点が多々あったように思われます。

そこらも含めてご指摘いただけると助かりますのでどうかよろしくお願いします。


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