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決めたこと

俺はよかれと思って手伝った家事を、沙織が嫌がるとは思っていなかった分ショックだった。

家族仲が悪いようにも見えなかったし、ホントにただ、よかれと思ってしたことだった。

それをそんな風に言われるなんて心外だった。

「飯の手伝いくらい、してもいいんじゃない?」

と言うが、沙織は無視する。

「俺、飯の支度は手伝うことにしたから」

と言いきると、沙織が

「勝手にすれば?」

と言ってきたので、とりあえずよしとした。


昼飯は沙織の作った焼きそばだった。久しぶりにまともな焼きそばを食べる俺、あぁ〜幸せ……


午後からは沙織から俺へのレクチャータイムだった。

プリ帳を見ながら一人一人の名前を覚えていく。至難の技だった。

もっと大きい写真があればいいのに、というと、沙織はプリンターの電気をつけた。

「スキャンして大きくなったら見やすいでしょ?」

ナイスアイデア!

スキャンして大きくなった画像に、一人ずつ名前を書いていく。

ざっと10人程度の作業だった。

割りとすぐに覚えられた。

そのあとはプリ帳をみながら、これは誰でしょう?なんてクイズがてらやっていった。

沙織のいう言葉遣いだけはなおらなかったけれど、それも今後なれていくでしょ、ということになった。



部屋は綺麗に片付いていた。まるで俺の部屋じゃないみたい。外から春風が入ってきて気持ちいい。

自分よりも沙織のほうがこの部屋の住人としてはあっているかも、と思ったり。

そういえば俺、沙織の部屋は散らかしっぱなしだ。片付けねば。


そこてふと気づいた。

俺のベッドの下の天国はどうなったのだろう?

ベッドの下にものはなかった。

沙織を問い詰めると、今日のごみに出してしまったとのこと。お気に入りのグラビアがー!!

ガックリしている俺に、沙織が、

「元に戻って必要だったらまた買えばいいでしょ」

と一言。

「高坂みほちゃんの貴重な水着姿も入ってたんだよ!」

と泣く俺。バカみたい。

エロ本も捨てられていた。

「あんな本、役に立たないから」

と沙織の冷たい一言。

役に立つんですよー!!


俺は号泣した。



そんな俺に、沙織はさすがに悪かったかなと思ったらしく、水を持ってきてくれた。


俺は一通り泣くと、再び冷静になった。

雑誌の一つや二つ、どうだっていいさ!と。


部屋の中は本当に綺麗になっていて、沙織の並々ならぬ努力が見てとれた。

しかも、食事も自分で作ってくれるという。毎日コンビニ弁当だった俺に取ってはプラスになることばかりだ。


ジムにはいつ行くのかと聞いたら、早速今日は体験入学だという。

頑張れ、俺の身体。

痩せていたあの頃はまだ、出会い系でも女の子はついてきたのだ。また痩せればモテ期到来かもしれない。などと考えてしたなめずりした。

「なんかゲスいこと考えたでしょ」

沙織にグサッと釘を打たれた。

「いや、別にゲスいことなんて考えてませんよ、今後について考えただけです」

「そうかなぁ……もしかして私って普段もそういう顔で笑ってたのかなぁ??最悪」

落ち込む沙織に俺は悪いことしたなぁと重いながら慰めた。

ほんとはゲスいこと考えてたんだけどね、はい。


やがて俺は門限近くなり、制服へと着替えた。

「あと六日くらいでしたっけ?休めるの」

「うん、一週間って言ってあるならね、あと何日かは大丈夫だと思う」

そのセリフを聞いて安心する俺。

「じゃあ、今日からジム、がんばってください!」と言うと、

「OKまかせとけ!」

と言ったので安心して帰路についた。

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