悪魔の囁き
長編連載になります。
面白ければしおり、お気に入りを宜しくお願いします。
序章
明王朝滅亡時代を駆け抜けた6人の仲間の内4人を失った雪蘭。
雪蘭は行方不明の星龍を捜したが見つからない。
捜索している最中にヴァンパイア一族と遭遇して戦いになった。
ところが戦いの最中に、幸か不幸か自らもヴァンパイアに。
そして400年が過ぎた。
雪蘭はあすなろ学園や白雪研究所を設立した。
あすなろ学園で人材確保。
白雪研究所でヴァンパイアの血の結晶化と改良などの研究を完成させた。
雪蘭は現代に転生した星龍を探すべく、あすなろ学園の卒業生である明美と共に捜索の開始を決定。
異次元からの侵略者の奴等を阻止する為には、仮面の忍者星龍が必要である。
彼を欠いては、地球は滅亡するだろう。
時を同じくして異次元からの侵略者によって滅亡の危機にある地球に、次元流奥義“花時雨光剣”を引っ提げた天野伸一が、覚醒した。
果たして、彼は仲間が転生した者か?
あすなろ学園生で初めて永遠の血を与えられた橘明美(時のダイバー)と雪蘭(くの一)の二人で、転生している星龍や仲間の捜索を開始した。
1
『ブーン……ブーン』
虫の羽音が脳髄を掻き乱す。
(いつもの発作が……)
暫くすると、羽音が悪魔のような囁きに変化する。
地の底から響く甘美な纏わり付くような声に、北條豊は股間が膨脹するのを感じた。
『お前は正常……』
『お前は異常……』
二つの囁きが、まるで羽音のように反響する。
北條豊はフラフラしながら本棚に近づく。
そして、レール式の本棚を右手で荒々しく左に寄せた。
本棚の後ろの壁に突起したボタンが見えた。
豊は今にもイキそうな顔付きでボタンを押す。
壁が左右に開く。
エレベーターが出現した。
発作が治まったのか北條豊は、安堵の表情を浮かべて乗り込む。
上下の矢印が二つ表示されている不思議なエレベーターであった。
北條豊が住んでいる場所は、八王子駅から歩いて20分ぐらいの所にある10階建ての北條ビルである。
地下1、2階は駐車場で地下3階は倉庫と豊の住居。
一人で住むには20畳は十分な広さである。
エレベーターは、存在しない3階より下を表示していた。
地下4階には
通路を挟んで、左右に6室、1番奥には厚さ5センチの鉛で覆われた20畳の独房がある。
『この工事を請け負った男性が、首を傾げながら……何に利用するんですか』
と尋ねてきた時、『悪魔を監禁する為』と冗談半分に答えたが、
まさか、実際に利用する事になるとは……。
北條豊が誰とは無しに、ぽつりと呟いた。
秘密にこの工事を請け負った人は、不幸な死を遂げている。
故に、
この地下の存在を知る者は、いない。
2
真由美の父の北條良雄が、北條企画の会長に就任してから、二年の歳月が流れた。
この北條ビルも、半年前に完成。
1階は書店と将棋道場
2階はメイド喫茶と囲碁道場
3階はネットカフェ
4階は映画館が二つ
5階はキャバクラとホストクラブ
6階は食堂街
7階は北條企画
8階は北條会館
9階は天空拳道場
10階は会長室
地下3階には、
豊、会長(良雄)、
真由美・亜紀、
美女集団(2)の部屋と倉庫がある。
3
北條豊は室内に入って、リール式の本棚を元に戻す。
4階の部屋は、3階の部屋をコピーしたように調度品までも同じだった。
相違する点を挙げれば、気分を滅入らせる纏わり付くような陰湿な気。
心の中まで凍らせるように襲い掛かかってくる邪気に北條豊は、閉口していた。
(嫌だな。本当に気が滅入る……)
豊は顔を引きつらせた。
暫くして豊は、冷蔵庫の下のフローリングの床に手を入れた。
そして、ごそごそと手を動かし始めた。
手を引くと、ブーンという音がして冷蔵庫が手前に動き出した。
(最初は面倒臭い仕掛けだと思ったが、馴れるんだな人間は……)
この仕掛けは、3階の部屋には無い。
唯一の相違点を挙げれば、これだけである。
豊と良雄の部屋は、会長室を除いた全ての部屋の様子が40台のモニターで録画されている。
壁に設置された40台の液晶は圧巻である。
豊は冷蔵庫の下の薄暗い穴蔵へ続く階段を、ゆっくりと降りて行く。
(何故、この部屋に降りると気が滅入るのか……)
中は6畳程の狭い空間であった。
冷え冷えとした冷気が襲い掛かる。
豊はエアコンの温度を30に設定してから、温風式の二台のストーブのスイッチを入れた。
(これで少しは温かくなるだろう……)
温風によって、首の後ろが、ピリピリと弛緩するのを豊は感じた。
豊は壁に設置された13台の内、12台のスイッチを入れた。
ノイズが耳目に絡みつく。
12台の内、左側がわの6室は、けばけばしいほどの内装が施されていた。
(右側の独房も壁紙しないと寂しいな)
豊は全て壁紙を使用すれば、この沈んだ気持ちも少しは解消するかもと思った。
海の風景が好きな豊は残りの独房の壁紙は全て海辺の風景にしようと心に決めた。
今は誰も、その独房にはいない。
豊は深く深呼吸をした。
そしてゴクリと唾を飲み込んでから、最後のモニターのスイッチを入れた。
(大丈夫。
今も定期的に催眠ガスを空気清浄器から送り込んでいるから)
液晶画面に20畳の空間が映しだされた。
部屋はコバルトブルーとエメラルドグリーンが混在した、不思議な部屋だった。
部屋にはダブルベッドと簡易浴室兼トイレが設置されている。
ベッドに一人の美少女が、倒れ込むように横たわっていた。
横顔だけからでも、想像を絶する程の美少女だと推察できる。
髪の長いぞっとするほど透明な肌。
そして心の奥まで覗きこまれるような瞳。
豊は初めてその少女を見た時、恐怖を覚えた。
豊は、この少女は普通の部屋では危険だと思い磁気を遮断してあるこの独房に移動した。
この少女は催眠ガスと象でも瞬時に眠らせる麻酔銃を打ち込んである。
独房から出して地球の磁気を浴びるとこの悪魔は覚醒する恐れがある。
だから、この独房から出すことは出来ない。
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