???の回想
僕の名前は、川内 直人
突然ですが、中学一年生にして、恋に落ちました!!
それは、 夏の太陽がギラギラとって・・・えっ聞きたくない?
でも、今日は僕が語る日やから堪忍して!
では、気をとりなおして・・・・・・・・
忘れもせん、中学硬式野球の全国大会初戦の日。
さすがに一年生から先発としてグラウンドには立てへんかったけど、ベンチメンバーに選ばれた嬉しさと緊張でどうにかなりそうやったから仕切り直すつもりでトイレに行ったんや。
それで落ち着いたんは良かったんやけど、試合開始までそんな時間もなかったから急ぐつもりで走りだしたちょうどその時運命の相手とぶつかったんや。
「すまん!!けがしてない?」
勢いよくぶつかってしまったため、俺は思わず声をかけた。
「大丈夫です。ペットボトルが落ちただけですから。」
「ほんまや!!あ~少しへこんでるな。」
落ちていたペットボトルを拾いながらぶつかった相手に怪我はないか確認をする。
「大丈夫ですよ。へこんでるだけで中身は無事みたいですから。」
髪型は、ショートカット。その上に熱中症対策か俺が贔屓にしてるチームのライバル球団の帽子を被っていた。顔は・・・俺のタイプやん!!
「それに、急いでいたってことは、もうすぐ試合なんでしょう?ペットボトルを拾ってくれただけでも助かりました。ありがとうございます。」
「ほんまに大丈夫か?なんか、心配やねんけど・・・」
また、同じ事が起こりそうで心配になって声をかける。
「大丈夫ですよ。そこの第一グラウンドで試合ですから。」
「第一?なら、途中まで持つわ。俺のチームもそこで試合やねん。もしかして、青春学園の人?」
これ以上話してたら監督に怒られると思った俺は、その子が持っていたペットボトルを有無を言わせず取りあげた。
「はい。兄が試合にでる予定なので。」
「ちなみに、自分何年生?」
なんとなく、同級生だったらええなぁと思って質問してみる。
「えっと、一年生です。」
「俺もや。・・・・なんでその敬語やめてくれると嬉しいんやけど?」
同級生なら、敬語で話したくない俺は思わず提案してみることにした。
「えっと・・・・・これでいい?」
「うん。同い年で会話するなら、それが自然やな。」
タメ語に持ち込めたことに心のなかでガッツポーズをしたのは言うまでもない。
和やかに彼女と別れてしばらくした後、試合が始まった。
試合は、こっちが勝ってて9回表。なんと、監督が俺に試合経験を積ませるためにマウンドにあがるようにいいよった。
マウンドに上がって、それとなく相手側の応援スペースをみると例の女の子がビックリした表情でこちらをみていた。
(見といてや。カッコいいとこ見せたる!)
心の中でそう思いながら挨拶変わりにウィンクをした瞬間、突き刺すような視線が刺さってきた。
視線のした方向を見ると相手側もバッターを交代したらしく、そいつからの殺気だと分かった。
(なるほど。ライバル登場といったところか・・・)
さっそく本気をだして三振で仕留めたろと思ったら、バッターも予想以上に食いついてくる。
(こいつ!!)
そう思った瞬間、思わず力んだボールをバッターが逃すはずもなく狙い撃つ。
慌ててボールの行方をみると、どうやら二塁打だったらしくそいつは二塁に立っていた。
その後、気をとりなおして後続を三振にしたのち、試合が終了し俺のチームの勝利が確定した。
その後、それぞれ並んで互いに礼をする際二塁打を打ったバッターと向かい会う形になった。
「なぁ、あそこの帽子を被ってる女の子の名前教えて。」
「断る。自分で聞けよ。」
「じゃあ、自分の名前を教えて。」
「はぁ?なんでだよ。」
「ライバルの名前は知りたいやん。」
こうなったら、こいつを倒すことから始めようと思った。
「‥‥‥立川 勇気」
立川は、挑戦を受けるような顔でこっちを見つめてきた。
「俺の名前は、川内 直人。色々な面でお前には負けるつもりはないから。」




