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「チケットを持っている人だけ、二列に並んでください!!このコンサートは、事前に購入した生徒限定になっています!!」
『文化委員会』と書かれた腕章を付けた生徒の大きな声が体育館前の入り口にて響き渡る。
「人気あるんだね~」
入場を待ちながら、私はそんな感想を呟いた。
「人気っていうか、ブームみたいなもんじゃない?
これから、名前が売れるか、消えていくかってところかしら?」
「あれ?ファンじゃないの?」
「私は、ファンじゃないわよ。好きな顔のタイプがこのグループのメンバーなだけよ。」
「お二人共!!いよいよ開場ですわよ!!」
会話の途中、天使が振り返って胸の辺りに両手で握り拳をつくって宣言をした。
それと同時に、列も動き始める。
私は、これから体験する未知の出来事に好奇心を抑えながら入り口まで歩き始めた。
(こ、これがあの体育館?)
中に入っていつも授業で使用している雰囲気がガラリと変わっていることに驚く。
カーテンをしたことで中は暗くなってはいるが、どこから借りてきたのか色とりどりの照明が室内を照らしていた。
「こら、ノロノロせずに動け!」
「は、はい!!」
自分の座席を探しながら、体育館の様子を観察していると後ろから声をかけられ思わず背をただし返事をしてしまった。
「マジかよっ‥‥相変わらず面白いな中島妹」
声がした方向に顔を向けるとそこには、お腹を抱えて笑っているホスト顔の俺様先輩がいたのだった。




