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月日は、1週間前にさかのぼる。
私は、いつもどうり母手作りのお弁当を食堂で、高木さんと一緒に食べ、最後の一服でお茶を飲んでいた時である。
「中島、少しいいか?」
立川少年がおもむろに声をかけてきた。
「構わないよ。まだ、休み時間だし、図書館には、放課後に行くから。」
「図書館が優先事項なんだ・・・・・」
立川少年との会話でのツッコミが向かい側から聞こえたような気がするが気のせいだろう。
「その、なんだ、俺の口から言うのもあれなんだが・・・・・」
立川少年の視線が、別方向に向けられる。
「寺岡君からの伝言?」
「ああ、本人が伝えればいいんだが、当の本人がな・・・・・・・」
よくよく見れば、周りを女子生徒に囲まれたアイドル君が見える。
「解放される頃には、休み時間も終わるから、俺が代わりに伝えることになった。・・・・隣いいか?」
「いいよ。」
私の隣に座り、私と高木さんだけに聞こえるように話しをし始めた。
『単刀直入にいうと、中島達はコンサートに興味はあるか?』
『コンサート?コンサートって野球の始球式前か後ぐらいに歌手が歌うあの?』
『『違う』』
立川少年と高木さんに間髪入れずに否定される。
『コンサートっていうのはね、簡単に言うと、ホールでファンの為に歌う事だよ。』
『へ~、で?』
『それを、学園祭で体育館を借りてやるんだと。それで、猛がもし良かったらきてほしいそうだ。』
『でも、それってすぐ売り切れたって聞いたよ?』
『販売分はな。でも、猛が友人用に確保してるのが何枚かあるそうなんだ。』
高木さんの疑問に立川少年は、表情を変えずに答えた。
『これが、猛から預かったチケットだ。』
そういうと、立川少年はおもむろに封筒を差し出した。
『いいの?くれるなら、有り難く頂戴するよ。寺岡君にもそう伝えといて。』
私は、未知の体験に今からワクワクしながら、素早くポケットの中にチケットを直した。
『そうか、良かった。』
立川少年も心なしかホッとした表情になったのが、何故か印象的だった。
「ってことで、チケットがあるんだ。」
チケット入手方法に説明し、改めて二人に見せた。
「し、信じられませんわ。」
「あんたの交友関係どうなってるの?」
衝撃がまだ残ってるのか、信じられない様子らしい。
「そっかぁ、いらないのか。高木さんも学園祭でバタバタして行けなさそうだし。どうしようかな。・・・・・・・学園祭にきてるファンみたいな人にあげ」
「「行きます!!」」
こうして、私は友人を連れて初コンサートに行く事になったのだった。




