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「明里。それ、いつの話?」
「えっ?8月ぐらいだったかな。」
「2ヶ月前の話じゃないの」
まどかが呆れ顔で感想を述べならが、おもむろに私の頬を引っ張った。
「いひゃい。」
「どうして、そんな面白い話黙ってたのよ。」
「だって、野球に興味ないよね?」
「興味ないけど、面白い話には興味があるのよ。・・・・・・で、続きがあるんでしょ?」
続きを諭されたので、躊躇なく口を開こうとした時である。
「二人とも暇そうだね?なんなら、僕らのクラスの宣伝でもしてきてよ。」
委員長が仁王立ちで私達の前に現れて言った。
「委員長。今の格好で言われても説得力ないわよ。」
「好きでしてないよ。文化祭の出し物だからしょうがないじゃないか!!」
「いや~、一時のテンションって怖いね!」
「中島さん、笑いごとじゃないから。なんで女装・男装喫茶になったのかな・・・・・・」
そうなのだ。今の委員長はカツラにメイド服、私とまどかは執事服という格好になっているのである。
なぜ、こんな格好をしているのかには理由がある。それは、現在、文化祭期間中で尚且つ私達の出し物が『女装男装喫茶』だからだ。
高等部と比較すると中等部の学園祭はたいしたことはないらしいが、それでも黒字分はクラスの好きにしていいのでどの学年も個性的な出し物から堅実的な出し物まで多種多様なのだ。
(てか、そんな設定だったんだ。あのゲーム。てか、高等部どれだけ凄いんだろう。ぶっちゃけ、真剣にイベント?なるものをみてなかったしな。)
そんなことを考えていると、気を取り直した委員長の声で現実に戻されてしまった。
「とにかく!!学園一位とまではいかないけれど、黒字にはしたいからね。ちょうど暇な人を捜してたんだ。」
「委員長、拒否権は?」
「いってらっしゃい。」
有無を言わせぬ笑顔で私とまどかは看板を持たされて送り出されたのである。
「で、話の続きは?」
しばらく校内を歩き回っていると、まどかがおもむろに聞いてきた。
「続き?」
「だから、関西弁の子が試合に出てきてから何があったのよ?」
「あぁ。簡単にいうならどういう訳か、立川君が出てきたんだ。」
「立川?」
「隣のクラスの子だよ。オリエンテーションで寺岡君を引き取りに来た。」
「あぁ、あの・・・・・・えっ?」
「うん、私もその反応だったよ。」
似たような反応をするまどかを生暖かい目で見つめながら答えた。
「それは確かに。驚くわね。」
「でしょ?まぁ、試合は負けたけどまさか一年生対決をみるとは思わなかったからびっくりしたよ。」
ぼちぼちクラスに戻ろうと話を切り上げて方向転換をした時である。
ゴツ
回りを見てなかったせいか、人にぶつかってしまったのである。




