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焼きそば、たこ焼き、綿あめ、金魚すくい・・・etc.楽しみすぎて財布の紐が緩んでいく。
「中島さん、まだ食べれるの?私、お腹いっぱいだよ。」
困った顔で、高木さんが質問してくる。
「付き合わなくていいよ。私がまだ食べれるだけだからね。食べれないなら、その綿あめ貰うよ?」
高木さんが手に持っている綿あめを指差す。
「オヤツは別腹だよ!!」
「必死に言わなくても・・・・・。冗談なのに。」
「中島さんの場合、冗談に聞こえないよ。」
「ゴメン、ゴメン。・・・・・・・あっ」
高木さんに謝りつつ、思わず目に入ってしまったものに立ち止まってしまった。
「どうしたの?あっ、射的だ。景品はぬいぐるみだね?」
お祭りと合って、似たり寄ったりの店が並ぶなか、目に入った射的の店は景品をぬいぐるみ中心にしているようだった。
「うん。挑戦してみるね。」
「えっ、挑戦するの?」
「あのぬいぐるみが気にいったんだ。」
可愛い柴犬っぽいぬいぐるみを指差す。うん、抱きしめ心地も良さそうだ。
早速、お店の人に100円を渡して挑戦する。一発目、外れ。二発目、外れ。三発目、外れ。
「中島さん。家に帰れなくなるよ?」
いつの間にか後ろから追いついてきた委員長が警告してくる。
「分かっているんだけど、この出会いが一期一会のよいな気がするんだ。最悪、歩いて帰る。」
「中島。それは、止めろ。危ない。」
立川少年も真剣な顔で止めてくる。
出店の前でそんなやり取りをしていると、聞き慣れた声が、聞こえてきた。
「明里。なに騒いでるんだ?」
同じく、祭りに遊びに来ていたお兄ちゃんがどこかで見たことがあるような人を連れて現れたのだった。




