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「待たせて、ゴメン!!」
神社の鳥居の前で待っていた、高木さんに頭を下げて謝る。
「心配しないでいいよ。私も今到着したところだから。」
「そうなの?よかったぁ」
遅刻したのかと思って焦ってしまったため、思わずホッとした。そして、改めて、高木さんの服装に注目した。
「に、似合ってないかな?」
「か」
「か?」
「可愛いよ!!なんか、『夏祭り』って感じがする!!」
いつものおさげの髪が上がっていて、薄いピンクの浴衣にマッチしていた。
「あ、ありがとう。中島さんは、洋服なんだね。」
「うん。屋台を食べ歩くつもりだがら、汚したくないし、浴衣を着ても似合わないからさ。」
浴衣とか、スカートとか高木さんみたいな『女の子』が着るから似合うのだ。自分が浴衣を着ている姿を想像してみたが、浴衣に着せられてる感が拭えない。
「そんなことないと思う。似合うよ!!」
「そうかな?んじゃ、機会があれば着てみるよ。その時は、一緒だよ?」
「うん!!」
嬉しそうに頷く高木さんを見て、衝動的に抱きしめてしまった。
「な、中島さん?!」
「可愛いすぎだよ!!私が男だったら、惚れてるね!!」
浴衣が崩れないように、高木さんとじゃれあっていると待ち人達が声を掛けてきた。
「悪い。道路が混んでた。」
「それにしても、二人とも仲がいいね~。」
済まなそうな顔で詫びる立川少年と微笑ましそうにこちらをみている委員長の姿があった。




