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「もうそんな時間?」
一階からの呼びかけに答えながら階段を降りていきリビングに入っていった。
「今日は、土曜日だからな。昼から始まるみたいだ。」寝転がってテレビを観ながら答えてきたこの兄の名前は、中島努。青春学園中学校の野球部に所属している。今日は、珍しく部活が休みらしい。
「ピッチャーは?」
「我らがエース、北野投手だ!!」
「おっ、それは勝って欲しいね~」兄に対してそのように答えながら隣に座る。
「だな!!そういえば、お前『青春』受験するの?昨日からパンフレットとにらめっこしてたみたいだけど?」
「うっ。いや、実は迷ってて・・・・」
前世の記憶が戻ってからというもの、どちらかというと受験しない方向に片寄っていたのだが、決められずにいる。それは・・・・
「意外だな。県内最大の図書館があるのに迷うなんて?」
それだ。私は、野球も好きだが本も好きだ。これは、前世の影響もあるかもしれないが、小さい頃から本の虫の私からすれば、飛びつきたくなる理由になる。
「まだ、早いと思うんだけどな。とりあえず、学校見学に行ってから決めようと思うんだけどね。あっ、今日は調子良いみたいだね。」気が早い兄と話しつつ、意識を野球中継に戻す。今日は勝ってくれるか?
「そうか。まあ、お前が好きなようにすればいいけどな。あっ、打たれた・・・・」
「まだ、一回表だから。大丈夫、大丈夫。」
「心配だなぁ・・・・・・」
完全に試合に意識がいったので、私も集中することにした。
結果は。逆転負け。・・・・・救援陣しっかりしろよ。




