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(自転車にすればよかった。)


バスの手すりに掴まりながら、私は後悔していた。

青春神社は、周りに自転車置き場が少ないことで有名らしい。普段なら、問題ないが、今日のように神社でお祭りがあると自転車が置けなくなるため、現在駐輪場を建設中なのだそうだ。

入学当初のサンドイッチ事件のお陰で、混雑している自転車置き場にトラウマを持っている私は、バスで行くことを選択したのだが・・・・案の定、バスの中も寿司詰め状態だった。


しばらく、揺られているとバスが目的地である神社の少し前に到着した。運転席の方まで移動しようとするが前の人がなかなか動く気配がない。


「すみません!!降ります。」

「・・・・・・・・・・・」

よく見ると、耳にイヤホンを付けた状態で携帯電話を弄っている様子だった。


(もしかして、降りられない?)

最悪の事態に半分混乱状態に陥りそうになった時である。


「すみません。友人が後ろにいるので、少し身体をどけてくれませんか?」

「えっ?す、すみません!!」

私に変わって、前の人の肩を叩いて注意をしてくれた人が現れたようだ。


(これぞ、まさに天の助け!!ありがとう。見知らぬ人!!)


救世主の後ろをついていきながら、周りの人に謝りつつ無事にバスを降りることができた。

早速、お礼を言おうと、救世主の顔を改めて見た。

金髪の髪を肩まで伸ばし、瞳はライトグリーン。頭にベレー帽を着けた外国人だった。


「せ、せ、センキューベリーマッチ」

「えっ、あの・・・・・」

「えっと、じゃ、ジャスタア・ミニッツ」

慌てて、携帯電話の辞書を開く。せっかく、助けてくれたのに、お礼を言わないなんて失礼だ。そんな、気持ちが相手にも伝わってしまったのか小さく吹き出した笑い声が聞こえてきた。


「はい?」

「す、すみません笑ってしまって。あまりに、悩んでいる姿が可愛いらしくて。」

「可愛いのはあなたの方です。・・・・・・あれ?日本語?」

「私は、生まれも育ちも日本なんです。父親が外国人なんで、よくあなたのように間違われるんですけどね。」

「そうなんですか。改めて、すみません、助かりました。このお礼は、再び会う機会があれば必ず。」

「お礼なんていいですよ。それより、急いでいるんでしょう?遅れてしまうのでは?」

「そうだった!!行かないと!!」

神社の鳥居の前で待っているであろう高木さん達を一瞬忘れていた。

向かう前に、もう一度、救世主に頭を下げて慌てて待ち合わせ場所に向かった。




互いに、性別を勘違いしたまま。




『可愛いらしい男の子です。やっぱり、女の子とデートだったみたいですね。あっ、今度のネタはこれにしましょう!!』


『可愛い女性だったなぁ。さっそく、高木さんに話してみよう!!』

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