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「・・・・・という訳で、楽しい野球観戦でした。ありがとう!!」

「どういたしまして?」


立川少年が目を点にしつつも律儀に返事をする。当たり前だろう。久しぶりに話す同級生から怒涛の感想を聞いたら、私も同じ顔をする。まぁ、久しぶりと言っても4日しか経ってはいないが。


「しかし、関東大会を優勝してしまうとは思わなかったよ。」

「中島、自分の兄貴を信じてなかったのか?」

「信じてたよ?でも、今まで優勝とか経験したことなかったからさ。お兄ちゃんも、家に帰ってからやっと実感湧いたらしくて、次の日から1日中機嫌が良かったんだよ。」

いいながら、試合観戦中に頂いた飴を口に入れる。

・・・・・・・・うむ、美味しい。


「それ、試合の時貰ったやつか?」

「うん。だったら、立川君もいる?塩味、レモン味、梅干し味があるけど?」

「見事に酸っぱいのばっかりだな。」

飴が入っている巾着袋の中身を見ながら立川少年は言った。


「本当に沢山入ってるね。それ、全部食べる気かい?」

いつの間にか来ていた委員長が笑いながら聞いてきた。

「やあ、委員長。一つ食べる?」

「いいのかい?じゃあ、レモン味を頂こうかな。」

「飴をわざわざ食べに来たのか、木村?」

「いや、休んでた分の講義のコピーを渡しに来たんだ。」

飴を学ランの胸ポケットに入れながら、右手に持っていたプリントを立川少年に渡した。


「悪い。・・・・6枚だから、60円でいいか?」

「お金はいいよ。家にあるコピー機を使ったから。」

お財布からお金を取り出そうとした立川少年を委員長が制した。

「本当にいいのか?」

「ああ、・・・・・そうだな。お返しなら夏祭りに行くのはどうだい?」

立川少年の返事に委員長は少し考えた様子で聞いてきた。

「夏祭り?」

「青春神社の夏祭り。中島さんは、行ったことない?大きいお祭りだから知ってると思ったんだけど。」

委員長の質問に、過去の記憶を必死に手繰り寄せる。


(えっと、綿飴でしょ、アニメキャラクターのお面に・・・・・あれ?最後に行ったの何歳の時だっけ?)


「もし、よければ中島さんもどうだい?実は、高木さんとそんな話になってね。二人でいくより君達も一緒に行ったら楽しいだろうって話になってね。」

「いつあるんだ?」

「再来週の日曜日なんだけど。試合かい?」

「日曜日か。なら問題ない、休みだ。」

「じゃあ、再来週の日曜日は空けといてくれよ。高木さんには僕から伝えとくよ。」

手を上げて帰って行く委員長を二人で見送った。




帰宅後、早速聞いてみた。

「お兄ちゃん、最後に夏祭りに行ったのいつだっけ?」

「・・・・・幼稚園の時じゃないか?」


(全く記憶になかった。こうなったら、リベンジだ!!待ってろよ、夏祭り!!)



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