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時々、小説や漫画で前世の記憶を持っていたがために魔法が普通に使えてしまうとか、救世主扱いされてしまう話があるが、あれは、嘘だ。

なぜならば、今、私が嘘であることを証明したからである。



「聞いてるかい?明里?」

「も、勿論聞いてるでごさいますよ!?」

「父さん、聞いてないよ。こいつ。」

ニッコリ微笑みながら私に話かける父に対し、他人事のように母の手作りお菓子を食べながら突っこむ兄がテーブルに向かい合うように座っている。

「お父さんが、座ってるのは納得できる。けど、お兄ちゃん!!そこの席は、お母さんが普通座るんじゃないの?」

「明里の次にお説教が待ってるんだよ。」

「じゃあ、私の目の前じゃなくてもいいよね?」

「それもそうだね。努、部屋に戻っていなさい。」

父にまで言われたので、しぶしぶ部屋に戻る兄の後ろ姿を見送る。


「単刀直入に言うと、国語とそれ以外の科目の点数の差が激しい理由を教えてくれないかい?」

(前世の記憶があるので、勉強しなくても解けると変な自信があったからです!!)

本音を心の中で叫びつつ沈黙する。


「明里・・・・書かないと覚えない科目もあるんだよ?」

「まったくもって、その通りです。」

今回の事でハッキリした。私は、『記憶』があるだけで、『経験』を積まなければ、実際は意味がないという事を。

「うん。反省する事は良いことだよ。でもね、父さんも母さんもそれでは心が晴れません。よって、夏休みから塾に行ってもらうことに決めました。」


・・・・・・えっ


「全教科じゃないよ。勿論、一番酷かった理数系を勉強してもらうよ。」

「そうよ。一番酷かった科目だけだから。行ってみたらどうかしら?」

父と私の分のお菓子を出しながら母もテーブルに座る。


「もしかして、甲子園見れない?」


やっと放った一言により、さらにお説教が長引いたのは言うまでもない。


(本音を言うんじゃなかった・・・・・・)

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