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「大丈夫か?猛に何かされたか?」
「こら!!なんで俺が疑われるんだよ!!」
心配そうに、こちらに問いかける立川少年に対しカレー鍋を大事そうに持ちながら反論する寺岡君である。
「ただ、心優しい同級生から恵みのカレーを頂いただけだ。何もしてない!!」
「恵みのカレー?」
「見ろ!!色が黒くなく、臭いも、腐敗臭がしないんだ!!」
「えっ・・・・普通だろ?」
「俺も、自分のグループのカレーを見る前はそうだった。でも、この世には想像を絶するカレーもあるんだ・・・・・」
説明しながら思い出したのか、次第に寺岡君は顔色が悪くなっていく。何があったんだろう・・・・。
「とにかく、戻るぞ。お前のグループの奴らが、探してる。」
「ヤバい!!早く戻らないと。えっと・・・名前なんて言ったっけ?」
「いや、名乗るほどの者では・・・・」
自分のグループに戻ろうとして、寺岡君が慌てて振り返えって、聞いてきた。
「この子の名前は、中島 明里よ。ついでに言えば、私の名前は鈴木 まどか。覚えた?」
私の代わりに、まどかが答える。
「覚えた、覚えた!!この借りは、必ず返すから、期待しててくれよ。」
私達に宣言しながら、半ば、立川少年に引きずられるようにして寺岡君は戻っていった。
「なんだったんだろ?嵐のように来て、去って行ったけど?」
「よく分からないけど、グループ分けに感謝する事は確かね。」
二人を見送りながら、私達はそんな事を呟いたのだった。




