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「はい、では朝礼始めまーす」


 そんなわけで八時半、百鬼夜行の朝が始まった。無防備にもホテル一階のロビーで堂々と。いや確かにそんな場所を陰陽師の機関がピンポイントでマークしているとは思えないけどさ、どこぞの結界とかに突き当ったりとかしないのかな。


 「まず、行弓君。体調の方はいかがかな?」


 「お陰様で、もう大丈夫です」


 「そうかい、そりゃあ良かった。これからも何かあったらすぐに伝えるんだよ」



 俺と追継は、ホテルのロビーに置いてある大型テレビの正面にあるソファーに座った。その後ろに五百機さんが立っている、座ればいいのに。丁度近くの椅子にリーダーと、ダモン、それとまだ男装の刑が継続中の鶴見が座っている。

 だが……。俺の部屋にいるはずのもう一人の男がいない。


 「リーダー。なんか約一名、足りなくねぇ」


 俺が手を小さく上げつつ質問をぶつけると、リーダーは悲しそうな目をしてホテルの玄関の方を指さした。そこには黄色いテントが立っている。


 「え、何あれ?」


 「最後の百鬼夜行の構成メンバー。松林力也まつばやしりきやです」


 隣でお茶を飲んでいた追継が、しれっと言った。つーかあれ、俺の仲間なのかよ。恥ずかしい野郎だな。受付の人がすっごく困った顔して、眺めてるよ。


 そんな変な気持で見つめていると、テントの中から変な二十代の男が現れた。ジーパンに、黄色一色のなんかダサいシャツ一枚でこっちに向かってくる。


 目つきが怖い、気のせいかもしれないが俺を睨んでいるように見える。だが、よつば的な怖さはないがな。ホテル内に入ると歩くスピードが上がり、一気に俺の前まで来て、こう言った。


 「俺は絶対にお前なんか認めねえ」


 え、えっと。松林さんでしたっけ? 俺は別に百鬼夜行に入るたくて入ったのではなく、半ば無理矢理の形で入ったのでして……。

 と、思った瞬間に、あの人が動いた。


 「貴様、堂々と寝坊しておいて、よくそんな下らないことが言えたな」


 俺の後ろに立っていた五百機さんが一瞬で奴まで詰め寄り、俺の代わりに睨み返してくれた。


 「いやぁ、五十鈴。おはよう。今日も可愛いね。昨日はごめんよ、そう怒らないでくれよ」


 「ふざけるな、今ここでお前を始末してやろうか!!」


 何なんだ、この二人。昨日、俺が寝ている間に何があったんだ。そう思ったのを察してくれたのか、コーヒーを飲んでいたダモンがゆっくりとカップを下におろし、しゃべり始めた。

 

 「私と力也君はリーダーへの仕事報告の後、部屋に入ったんだ。すると、ベットが二つしかなくてね。一つは既に先客が使っていて、困ったなぁと、私が頭を悩ませていると、力也君が『ひゃっほうぅ、好都合だぜ!!』と言って、荷物を持ったまま部屋を出て行った所までは知っているよ」


 「そして私と追継さんの部屋に入ってきて、私と一緒のベットで寝ようとか言ってきたから、窓から突き落とした」


 ああね、だから野宿だったんだ。って、あそこ三階だぞ!! よく、生きていたな、あの男。何となく朝から五百機さんが不機嫌だったのも、これが理由か。


 だが、松林とか言ったか、紳士としては許せない行為だ。

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