表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/462

騒音

 ここまでの爆音があったからには、もう寝たふりは効かないだろう。

 そろそろ起きるか。


 「あの、おはようございます」


 場面に圧倒されて大きな声も出ず、ただ二人の方に伝わってないかなと思い、ゆっくりと頭を下げた。


 「おはよう、行弓君。体調の方はどうだ?」


 「大分元気になりました、心配かけてごめんなさい」


 「なぁに、君の体調が一番大事だ。元気になって良かった」


 などと温かい会話の途中にあの男が割り込んできた。


 「私はダモン・クオイア。趣味はダンスと日本文化に触れること。よろしく」


 俺の寝ているベットに近づいてきて、手を差し伸べた。握手かなにかの、要求だろうか。俺は外人で陰陽師の人間なんて初めて見た。これでも長年、陰陽師の機関で雑用し続けたが、外人の陰陽師なんて噂にも聞かなかった。なんだか、複雑な気分だ。俺も同様に手を出し、固く握られた。

 それにしても、随分と元気がいいなこの人。さっき踊っていたのもそうなのだが、なんというか全身から凄まじいストレッチパワーを感じる。筋肉が凄い、汗が凄い、あとオーラが凄い。まるでアスリートだ。

 そして、さっきから日本語がとても上手だ、外国人がよくやってしまうアクセントミスが一切ない。元々、日本在籍なのだろうか、親しくなったら尋ねてみよう。


 「やっぱり朝の運動は最高ですね、五百機さん」


 「あぁ、最高に迷惑だ。二度とするな。じゃないと」


 ばきぃ!!!


 「このようにお前のラジオをぶっ壊すぞ、分かったな」


 え!! もう壊しているじゃん!! 全く執行猶予なんてなかったじゃん!!

 ……と思ったら、よく見ると全く壊れていない。おかしいな、確かに腕に潰されるのを俺は見たし、潰れる音も聞いたのだが……。

 いや、待てよ。そもそもである、女性一人の素手で、ラジオなんて破壊出来るのか? たいして、振り被った訳でもないし、力を込めていたようにも見えなかったし、どういうロジックだ?


 「ほら、何をぼさっとしているんだ、朝礼を始めるぞ」


 そういやぁ、時計は見ていなかった。今は……七時十分。


 「えっと、五百機さん? 朝礼って何時からですか?」


 「8時半からだが……、あっ」


 じゃあ、まだもう少し寝ていても良かっただろう。別に五百期さんは俺とダモンを起こしに来たのではなく、ただ騒音のクレームを言いに来ただけだったな。


 「ごめん、日頃の癖でなんか言っちゃった。ほら、百鬼夜行にはルーズな奴が多いから、私もこんな感じになったんだよ」


 確かにそれは分かるな~と思いつつ、結局もう目が覚めてしまった訳なので。

 ベッドから体を起こした俺なのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ