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契約

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 その時だ、ポケットの中から声がした。


 「行弓ちゃん、行弓ちゃん」


 念力ではなく本物の声である。


 「あの霊をしっかり地獄に送り届けるのが私の仕事だ、奴等は私に任せろ」


 「お前、よつばの前で姿を晒すことになるんだぞ。それ以前に魂はもうかなり遠い所まで行ってしまったんだぞ」


 「あぁ、確かに私一人の力では難しいな。ああも散らばってしまってはな。しかし、行弓ちゃん。我々には最後に一つだけ切り札が残っている」


 …………。


 「式神契約」


 「その通り、行弓ちゃんの霊力を私に与えればまだ間に合うかもしれない」


 「でも式神になるってどういう意味か分かっているのかよ。奴隷になるんだぞ、自由がなくなるんだぞ、一族を売ることになるんだぞ。それでもいいのかよ」


 「構わない!!」


  そう一喝すると、勝手にポケットのお札の中から姿を現した。これが何百年も前から使命を真っ当してきた誇り高き妖怪の姿だった。


 そうすると火車の体がゆっくりと変わり始めた。光を纏っていて、何が起きているのか良く分からない。


 そして光が消えた後にいたのは、車輪でもなく、おっさんでもなく、若い一人の女性だった。髪は真紅で炎が燃え盛っており、服は着ていないが、元の車輪の名残で大事な部分はしっかりガードしている。俺より背が高く、胸が大きい。


 「女だったのか」


 だんだん頭がパニックになってきた、しかし落ち着こう。俺達は逃げた悪人の魂を追わなければいけない。


 すぐに契約を済ませた、すぐに俺の霊力を火車に送る。するとびっくり、また光に包まれたかと思うと、今度はバイクに変形した。


 「もう何でもありだな」


 「早く乗って、行弓ちゃん」


 仕方ないので取り敢えず跨ると、よつばがさも当然かのごとく俺の前のスペースに陣取った。すると後ろから飛鳥が乗ってきて……大変危ない状況に。


 「おい、三人乗りは危ない。つーか、バイクに乗ったことない。免許も持ってない。つーかヘルメットはどこだ!!」


 俺の話などまるで無かったかのように、猛スピードで走り出した暴走バイク。圧倒的速さで火の玉に追いつき、そこを飛鳥がすかさず捉える。はしゃぎまくるよつば、ひたすら困惑する俺。怖い、早く降りたい。


 何にせよ、残すところあと一匹になった。しかし、向こうとしても現界に行く為に必死なのだろう。最後の抵抗をしてきた。近くにいた鬼の中に入り、悪霊化したあげく巨大化した。


 見上げてみると四メートルはあるなって、こいつはさっき俺達から逃げようとして先陣を切ってずっこけたデブ鬼!! 本当の意味で仕返しかよ……。 

 火車は動きを止めて、俺達三人は降りた。その後、三秒で火車が人間の姿に戻る。


 こいつを人間界に行かせる訳にはいかない。行くぜ、俺!!

 ポケットからありったけのお札を取り出す。そして、鬼神スキル蓮柱。お札がペタペタくっついていき、剣に変わる。

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