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心理

 ……そうなのか? 俺の味方なのか?


 「それじゃあお名前くらい教えて下さいよ」


 「嫌だ、絶対に嫌だ。言ったら君に僕が誰だかばれてしまうからね。君のことを僕は本気で仲間だと思っているが、名前だけは絶対に教えてあげられない」


 俺に誰だかばれてしまうだと。まるで元から俺と知り合いであるような言い方をする。俺はこんな男性は知らない……いや、女性か。ますます分かんねえよ。変装して、声まで変えてしまっているんじゃ特定しようがないじゃないか。


 「あなたは一体何者なんですか」


 「う~ん、君の知り合いではあるよ。あんまり関わり合いは無いけどね。だが、僕の本性を明かしてしまうのは、かなり問題がある。ばれる訳にはいかない」


 「でも味方だと?」


 「そうだ、僕は絶対に君の味方だ」


 俺は陰陽師であって、軍人じゃない。人を操る心理作戦に対し、耐えられる屈強な戦士じゃない。しかし、なんなのだ。この信用の無さは。誘い方が下手すぎるだろう。ワザとやっているようにしか、思えない。正確に測ったことがないので、俺がこの手の心象心理に対し、見分ける適正を持っているのかは、正直分からない、はっきりと苦手だと頭で分かっていればよかったのだが。

 ……しかし、今までの俺の人生を振り返ってこの手の難しいことは不得手だった。まことに勝手な判断なのだが、恐らく苦手なんだろう。


 だってまだ俺は迷っている、自分が百鬼夜行の仲間なのかどうか?

 その答えを導いていないから、その次のステップであるリーダーを信用するかどうかの答えも出せない。


 認識が甘い、その通りだ。俺にはそもそも大人としての決断力というものが、備わっていない。


 その時だった、俺の方に五百機さんが手を添えた。悩んでいるのが、伝わってしまったのだろう。とても心配そうな顔をしている。


 「大丈夫か、橇引行弓。まだ高校生でありながらこんな厳しい状況に君を巻き込んでしまって申し訳ない。我々を信用しろというのがどれだけ無茶な要求をしているのか、少なくとも私は理解している。だが、無理を通して貰わないと困る」


 「そうそう、僕達には行弓君の力が必要なの」


 リーダーが笑いながら、言葉を添えた。


 「実は我々の力は、機関の警戒しているよりずっと貧弱なんだ。それを打開するには、君の能力を頼らざるおえない」


 ……こいつら、死ぬほど自分勝手だな。綺麗言を言っているように聞こえるが、要するにお前の力を利用してやるって言っているようなもんじゃねえか。まあ、でも、戦闘に巻き込まれるよりかいいかな。

 なんて思ってしまった自分がいた。

 

 


 

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