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模様

 なるほどな、そこが目的だったか。ようやく納得がいった。

 

 「問題は人数の少なさなんだ。わずか六人という少人数で、他の陰陽師機関にばれずに、捕獲不能レベルの妖怪を説得しにいくのには、あまりに時間が無さすぎる。効率も悪い。まして妖怪を解放しに行くという作業も必要だ。どう考えても、新しいメンバーが必要なんだよ。今回の件で我々は妖怪達と強固な関係を築けているとはいえないことが判明した。牡丹燈篭が鶴見牡丹を置いて、逃げ出したのだ。これは我々がいかに希薄な交渉をしているかが、浮き彫りになったといえる」


 五百機さんは早口言葉でも言うかのように、抑揚もつけずにさらっと言った。


 「なのでお兄さんの話術の力が喉から手が出るほど欲しかったのですよ。確かに、お兄さんは全く戦闘は向いていないかもしれませんが、その交渉力は全国屈指の実力です」


 いや、別に俺は交渉とか、そんなつもりで烏天狗を式神にした訳じゃないし、他の妖怪だって、同じこき使われているって意味の仲間だったから、親近感があっただけだ。俺に話術があるかどうかは、また別の話だと思うのだが。


 「そういえば、火車達と烏天狗は?」

 

 ポケットに手を差し込むと、お札が一枚もない。

 

 「……? あぁ、教育係である私が預かっている。必要がある場合は返却するが……別に君のことを信頼していない訳ではないのだが、少々君の式神達と会話がしたくてね」


 そういうと、お札を火車のストック分と、烏天狗分の枚数のお札を手渡した。

 まあ、俺より俺より百鬼夜行の滞在期間が長い烏天狗はともかく、火車は説得の時間が必要になるよな。あいつ等からすれば、百鬼夜行は主人を不都合な理由で脅迫して、誘拐した敵になるのだから。まあ、本当にそんな関係ならこんな風に話し合いなんて実現していないけどな。その辺は俺が機関を脱退したことが、吉とでたって感じだな。

 よく見ると、お札の模様が変わっている。これは前にみた、追継と同じ模様だ。


 「まぁ、我々専用という感じだ。模様以外は何一つ変わっていないよ」


 そうか,俺はやっぱり百鬼夜行に入ったのか。この時改めて実感した。


 「そろそろ移動しようか。リーダーがお待ちだ」


 そう言って二人が立ち上がる。俺もベットから這い出た。体が重い、何だろうこの気分は。これから何が始まるというのだろう。別に今日のことを言っている訳ではない。早く止めないと、これから百鬼夜行は間違いなく全国の機関を襲い続けるだろう。戦闘をさせる気はないと言ってくれたが、俺が戦う可能性が全くないって訳じゃない。その前に……俺がこの戦いを止める。

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