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特に何もしない陰陽師  作者: 太刀風居合
第二十四話
431/462

気儘

リーダーが麒麟を吸収した、その姿は金色に光る炎のような模様の鎧になり、あの麒麟が纏っていた狂気の波長を覆い被さっている。麒麟の角が頭に引っ付き、皮膚の模様が鎧の絵柄になり、足の蹄とかが足のスパイクになっている。


 「あれれ、行弓君……」


 それで俺はというと、俺の姿は……ない。その代わりに現れたのは火車の武神モードの姿が現れた。乗り移ったというか、俺自身が火車になって巨大化したようなイメージだと思ってもらっていい。


 「君も随分と悪霊になったものだね。君が柵野栄助に取り憑かれた時には、いつかは悪霊になるとはわかりきっていた事だが、悲しいかな。お互いにこんな醜い姿に変わってしまうなんてね」


 「いやぁ、止めて下さいよ。そのシミッタレタ言葉。俺の目指す最終目標は人間に戻ることですから。俺は戦闘時だけ力を発揮するだけで、人間の波長も保てるんです」


 レベル4の特殊能力だというよりは、柵野栄助と音無晴菜の連携離れわざといった方が的確か。悪霊の能力に同一に沿いながら、それでいて最大級の妖力を保持し、掟破りの能力を持っていたあの二人の。そして仕上げは栄助が格納庫から持ってきた歴代の異能陰陽師の能力の数々。そして俺が『元は人間だったこと』。全てが奇妙に絡み合った姿が、この奇跡の化学反応を生み出した。


 俺は悪霊でありながら、人間だ。


 「……君はいったい……」


 「特に何もしない陰陽師ですよ。正義の味方として怨敵おんてきを挫くこともせず、機関からも脱退の名を受けた、役立たずで、甲斐性なしで、規律を守れない。そして余計なタイミングで茶々を入れる仲裁者。難攻不落の『中立の立場』の人間ですよ!!」


 もうお喋りは結構だろう、お互いが会話で穏便に済ませられる期は逃した。しかし、勝負自体も成り立たない、お互いが超回復の持ち主だから。後は……心を挫くまで拳で語り合うまでだ。


 「リーダー、思い出してください!! これからあなたが本当に向かうべき道を!! 平和な世界で、何の未練も無く、幸せに人生を桜花するんです。そのためには、家族は絶対に必要なんだ!!」


 スピードでは勝負にならなかった、音無晴香の瞬間移動を主軸とした怒涛の連続攻撃に、俺は成す術がなく鎧を破壊された。その度に鎧を再生させて、武神の刀を振り回す。当たらない、擦りもしない。当たる気配すらしない。俺は宛ら剛速球の球を投げる野球投手に、プライドをズタズタにされるバッターだ。


 だが、チャンスはストライク三回でも、アウト三回でもない。無限にも思えるチャレンジが不可能を可能にする。問題はその一瞬のチャンスをいかに作り、そのチャンスを掴み取るかだ。全ての攻撃が失敗でいい、一回だけ成功すればそれでいい。


 「どうした!! 君は口だけが達者の人間だったかい?」


 「そう思うなら、ちょっと反撃の機会を下さいよ!!」


 痛い、いくら回復があるとしても痛覚は消えない。それに俺と精神と肉体を共有してる火車もそれなりのダメージを背負っているはずだ。


 「あの男は……私を愛していない。娘を愛していない!! 私たちを世界を救う為の手駒にしたんだ!! 自分の家族を戦争の道具に変えたんだ!! 自由気儘に闘う君に、私の家族の痛みがわかって貯まるかぁ!!」


 分からないよ、どうして家族なら信頼できないんだ、喧嘩しても仲直り出来ないんだ。例え喧嘩しても明日には笑うのが家族だろう。どうして裏切り者を殺すという発想になるんだ。あなたの娘が本当にそんな残酷な結末を望んでいると思っているのか。


 一緒に笑いたいだけじゃないのか、また家族三人で一緒に暮らしたいために、音無晴菜はこの戦争に参加したんじゃないのか!! その願いはこの場にいる誰よりも尊い物ではないのか。


 痛いなら……押し付けるんじゃない、跳ね返すんじゃない、与え返すんじゃない、受け止めるんじゃない。


 「痛みは分かち合うのが正解だろうがぁ!!」

更新、遅れてすみません


 本当にすいません

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