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特に何もしない陰陽師  作者: 太刀風居合
第二十三話
415/462

譲渡

 ★

 混乱が収まった訳ではないが、どうにかこの偽物の振払追継を理解する努力をする事に決めた。こいつは俺の妖力吸収の技術を授けたのがこいつだとしたら、まだ俺の知らない重要な事柄を知っている可能性がある。

  

 「気がつかずに俺に接近したまではいいけどさ。どうやって俺に能力を授けたんだ?」


 「あぁ、食べた」


 たべ…た…? 食べた!!! おい、なにその恐怖感を煽る表現は。食べられたって……そんな、馬鹿な!! この空間に来て色々とびっくりしたが、今のが一番にびっくりしたよ。つーか、食われたなら気が付けよ、覚えていろよ、俺!!


 「どうして食べられたなら……その……俺は生きているんだ?」


 「だって私の能力は浸透する能力だから。取り込んでも、入り込んでも、ちゃんと原型を保てたままの状態に保存できるんだよ。よく幽霊が壁に吸い込む現象があるでしょう。あれが壁と幽霊が逆転した感じ」


 そんな理由説明で納得してくれる人は少ないと思うんだ。


 「標的ターゲットはその場に居合わせた全員だった。元々、住み込みで働いていた奴、お母さんより先に入社した奴。それらを私は有無を言わさず食べた」


 時間稼ぎか、悪霊が機関の施設に奇襲とあれば、笠松町が大パニックになった、お母さんとやらとゆっくり会話とはならなかっただろうな。


 「でも、俺を捕まえた理由は、只の騒がないようにする為なんだろ。どうして俺に能力を渡すなんて、自分が弱くなるような真似をしたんだ?」


 能力を譲渡する技術は今更ではない、だって面来染部が以前に緑画高校に無断侵入した時に同じような事を言っていた気がする。それは驚く事ではない、おそらくこいつらの常識では出来る事の範疇なのだろう。


 「私はね、お母さんの為に何が一番かを常に考えている。あの時の私は、とある直感をしていた。渡島塔吾の存在ですよ、あいつはきっとお母さんを不幸にする。きっとお母さんを在らぬ戦いの場に引きずり込む気なのだと」


 戦いの場って、レベル3の悪霊を倒していった作業の事か。それを責めるなら、そこにいる柵野栄助の方が責任重大だと思うのだが。というか、こいつって俗に言われるマザコンって奴か。実の母にも素っ気ない態度だった現実の追継とは大違いの態度だ。


 「だから私は考えた、お母さんの最大の敵を排除する方法を。あの人は……私のお父さんは、私たちの……家族の事なんかどうでもいいんだ!! だからお母さんを戦いの場に引きずり込む事もどうでもよかったんだ。あの人は私もお母さんも愛していないんだ!!」


 ……理事長……リーダー……振払追継……。この異様な家族構成がここまで破綻していたなんて。理事長は俺の見た感じでは笑顔の溢れる優しい人に見えた。確かに何かを企んでいるような顔をしていたが、邪気は感じられなかった。


 「でも私は……あの父親を倒せなかった。あいつは既に悪霊だったから。麒麟の影響化にある奴を倒せる手段が私には無かった。私が自由に行動を起こせなかったのは、あいつがいたせいだから。私の父は家族よりも地球の命運が大事なんだ」


 自由に動けなかった……、最強の悪霊をも一目置かせる虚ろな悪霊。それを動けなくした。理事長には毎回、驚かされていた。瞬間移動、妖力を含め気配を消す。だが、一番に驚いた事は『家族愛』だった。


 「本当に愛してないのか? あの人だって……」


 「愛してないよ、だから私の考えていた一番の最悪な想像に至ってしまった。お父さんはお母さんを敵に回した。世界の命運の為に家族を犠牲にした。私が君の能力を付与したのは、君がお母さんの次に戦いに巻き込まれる可能性が高かったからだよ」


 お母さんの次? 初期段階では全陰陽師最弱クラスだった俺が?


 「あなたは妖怪を心から愛していた。友達だと思っていた。烏天狗相手に屈しなかった。大人たちの逆風も耐えていた。少なくとも私が消えるまでは、あの小学生の状態の時は。きっと私の父親はあなたを戦場に巻き込むと思った。絶対に遣りかねないと判断した。だからあなたに仲裁の可能性を託した。私が消えてしまった後に、お母さんを救ってくれるように」


 これは分かる、渡島さんはこれから世界は変わるべきだと考えていた。だから屈折した松林力也なんかにも、応援したのだ。本部で奴隷根性に絶望を感じ、陰陽師の命運に絶望を感じた。そしてあの人は強く、『妖怪との共生を伺える人間』を探していた。俺がその筆頭だったはずだ。


 「私があの父親を止められなくても、あなたがお母さんを救ってくれると思ったから」

すいませm、今日は忙しいので


 予告にあった能力説明は明日で……明日も忙しい……


 まあ時間があったらやります。本当にすいません

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