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特に何もしない陰陽師  作者: 太刀風居合
第二十三話
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即死

 時間を止めた? 馬鹿な、そんな超常現象が可能なのか。そして俺をこの烏天狗の山まで持ってくるなんて。俺と柵野栄助が色々と繋がっていたのは知っていた。命だけの共有ではない。奴は俺の記憶を覗く技術だけでなく、俺の精神の引き出しに隠れる真似もできる。


 「じゃあ私がどうして今まで部下に君の回収を任せて動かなかったか。簡単だよ、私の力が少しずつ衰えていたからだ。君という絶望させるべき対象が、別の人体を持って消えた。お陰で私は君を一瞬にして見失なった。意識の回線が切れたと同時に、君があの隔離空間に逃げ込んだからだ」


 相良十次の妖怪である目目連の巣食う世界か、あの空間は柵野栄助を封印していた場所であり、侵入したら脱出不可能の場所である。簡単には入り込めない、そして同じ悪霊である音無晴香が同行してしまった。これで奴が俺に侵入がさらに困難になった。仲間に合流した事で、俺の絶望感が少しずつ晴れていった事もきっちり奴の弱体化の影響になっている。


 「私は慌てて君を捜すように二匹に頼んだ。結果は見るも無残さ、久留間は返り討ちに合い、面来は逃亡。あとは君が殺されるだけだった」


 これでレベル3の悪霊の終焉になった。もうじきに俺は死に、奴も死ぬ。これで全てが終わる。あとは心配すべき事は……心に傷を負ったであろう飛鳥と、処遇が気になる百鬼夜行の面々。そして……。


 「重大な事を忘れてた!! 柵野栄助は即死するかもしれないけど、俺は今度は完全な悪霊として復活するんだ!!」


 忘れていた、俺はそう簡単には死ねないんだ。レベル3の悪霊に取り憑かれた者は、自信も徐々に悪霊になっていく。そして元の元凶であったレベル3の悪霊を倒した時に、新たなる悪霊としてその姿を完成させるんだ。これが断ち切れない連鎖。


 「久留間点滅や面来染部はまだ最初から悪霊だった、それを私が妖力を譲渡した事でさらに強固な形で復活した。だが、あいつらは取り付いた相手がいない。だから死んでも問題なかった。しかし世界には取り付いた相手が覚醒する場合がある。音無春香はだから一匹の悪霊を倒すごとに、二人の命を奪っていたという訳だ。オリジナルでない限りは、二回目の憑依はないからね。だから君が悪霊になっても、だれかを呪う事はできないよ」


 それでも誰かに憑依する前の悪霊を殺す事ができない、だから多人数の人間を殺す事はないのかもしれないが、代わりに確定で二人を殺さねばならない。どっちが残酷であろう、捉えようによると思う。


 今までの事はどうしようもないとして、俺は……どうすれば……。


 「で? どうするのかな? どこぞの理事長とか、音無晴香みたいな感じで共存を目指す感じですか? それとも世界を崩壊させにいくのかな? 私の因子を受け継いで悪霊になるだろうから、君はおそらく尋常じゃない強さを手に入れる」


 そうだな、こいつの悪霊としての妖力が一気に俺の中に入ってくるのだ。そこで俺の自我が保てるかが、一番の問題だな。それが出来たとしたら、俺はまた人間の心を持ちながら、悪霊として陰陽師関係者に命を狙われる感じで追われる事になる。もう可哀想な被害者じゃ済まされない、だって柵野栄助は消えたのだから。


 「どうするのさ!! このままだと君は、人類の宿敵になるか、人間のために二度目の死を受け入れるかのどっちかだよ」

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