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愛馬

 天才児、日野内飛鳥。俺と同じで初めから陰陽師だった訳ではなく、元は一般家庭の三女らしい。昔からよく比べられたものだ。飛鳥が褒められ俺が叱られる、これが日常だった。


 黒い髪という点ではよつばと同じだが、よつばが長髪で飛鳥がおかっぱである。巫女服が良く似合う美人さんなんだが、逆にその美しさは独特の恐怖を感じさせる。


 この二人の決定的な違いは目にある。よつばは獲物を狩る鷹の目であり、飛鳥はそれを横から蔑む目で見つめるのだ、うわぁ~、またこの人餌食になってるよ~、みたいな。


 「少しは手加減を覚えろよ、いつかお前達に殺されるわ!!」


 謝るかと思えば、腹を抱えて爆笑してやがる。


 「安心するのじゃー、行弓。うちはお前の頑丈さを知ってやっているのじゃ」


 なんかどこから取り出したかも分からない扇で優雅に自分をあおぎ始めた。


 「行弓君、ここは発想の転換です。よろしいですか、新しい男子の在り方だと考えるのです。肉食系男子、草食系男子に並ぶ新しい男の在り方。その名もサンドバック男子、私以外の誰かにならモテるかもしれませんよ」


 それただのMじゃね!?

 やれやれと思いつつ、池から出た。お~寒い。


 「行弓よ、行弓よ。せっかく来たんじゃし暇じゃろ? 依頼があるのじゃ」


 「いや、暇じゃない。要件があって来た。さっきのお前の自転車についてなんだが」


 「おぉ~、カッコいいじゃろ~」


 早速、自慢の自転車を見せびらかしに来た。


 「見よ、我が愛馬を」


 年頃の女の子が自転車に興味を示すのは当然だと思うが、巫女服を着たままそれに乗るのは、はしたないというかミスマッチだと思うんだ。


 「あのさぁ、風の噂で聞いたんだが、その自転車。随分と派手に改造するらしいじゃねーか」


 「おぉ、貴様の耳にも入っておったか。じつわじゃ、この自転車のタイヤをあの有名な妖怪、火車にしてしまおうと策を巡らせているところなのじゃ~」


 なのじゃ~、じゃねーよ小娘、ふざけるな。そんな世にも奇妙な自転車で毎日徘徊されたら、町中パニックになるぞ。なんて説明して止めるべきか。どーせ”町の皆様のご迷惑になりますのでお止め下さい”と言っても、”町の活性化になるのじゃ~”とか訳の分からないことを言われるのがオチだ。さて、どうすべきか。


 「そこでじゃ、行弓」


 俺が何かを言おうとするタイミングを完全に奪い、一人でしゃべりまくる。


 「問題が一つあるのじゃ、それは肝心の火車共がのう、うちの話を聞いた途端に皆逃げてしまったのじゃ」


 当たり前だ。


 「困ったのう、これでは空飛ぶ謎の飛行物体になれぬではないか」


 お前の目指しているところが、よく分からん。

 

 

特にありません

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