表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特に何もしない陰陽師  作者: 太刀風居合
第二十二話
396/462

殲滅

 体の強奪、能力の喪失、命の危険性、味方の裏切り、籠城へ閉じ込められ包囲。これは絶望という言葉では足りない気がする。俺達が戦っている理由は何だ。悪霊の殲滅か、それなら陰陽師冥利につきるというものだ。だが、俺自信が悪霊になってしまった。ならば、俺は俺を殺さなくてはならない。


 戦争が始まった、全方位へと飛び散った大妖怪は緑画高校の正座バンダナ軍団を攻撃しはじめた。バンダナ軍団も初めは格好に似合わず冷静さを失っていたが、完全に戦闘モードに入って妖怪を一列に叩き並べて、俺達に攻撃を開始した。


 俺たちはまだ動かない、捕獲不能レベルの大妖怪軍団が取り巻きと戦っている最中に、本丸を潰さなくてはならない。理事長を説得する……ことはできないだろう、だから奴を気絶させるか、戦闘不能まで追い込んでしまう。指揮官を失えば残りの連中も行動を停止するだろう。戦力を総動員した以上はこっちの方が優勢だ、俺さえ殺されなければ問題ない。


 「仕方ない、夫の不始末は妻がつけるよ。私は単独で渡島塔吾を倒してくる。だから君たちの任務は行弓君の護衛だ。全力を持ってこの応接室を襲う連中を淘汰してくれ」


 その言葉だけを残すとリーダーは麒麟を御札から取り出し、俺達が何か言葉をいう前に飛んでいってしまった。俺達が捕獲不能の妖怪を集めていた事を理事長は知っていただろうから、何かしらの手段を講じていると思う。リーダーだけで応戦させるのは危険だと思うのだが。このまま俺が戦場に飛び込む訳にはいかない。


 「えっと、もう爆風とか光線とか見えているんだけど……煙と大型の妖怪の腹部で戦場が良く見えないね。これじゃどこから敵が来るか分からない」


 「戦闘は始まったようですね。何名かが妖怪の群れを突破して、こっちへ飛び込んでくるかもしれません。煙幕に気を取られないように注意して、行弓君を取り囲みましょう。五百機さん!!」


 「言われなくてもやっているよ。既に大蛤で霧を展開した。ここに入ってこれる人間はいない。だが、奴らの中には緑画高校の連中だけではなく、地方の陰陽師で松林の勢力に賛同派の連中もゴロゴロ参戦している。そこに幻覚を見破る使い手がいたら、分からない」


 松林に襲撃を受けた連中か、恐怖による支配を受けているって話だったな。松林は今、どの辺にいるのだろうか。俺の考えとしては理事長よりも、松林の馬鹿を止める方が先決だと思うのだが。奴を戦闘不能に追い込んで吊し上げた方が効果覿面だと思うからだ。まあどこにいるか分からない以上は、作戦としては成り立たないが。


 「行弓君、大丈夫です。私があなたを守りますから」


 「飛鳥……、それは本来、俺が言いたかった台詞だったんだけどな。こんな姿で、こんな状況じゃなけりゃ」


 「諦めないでください、私との約束を忘れましたか? ここを切り抜けて柵野栄助を倒し、体を奪い返して来て下さい。それが終わるまで逃げるのは許しませんよ。私も協力してあげますから」


 「あぁ、分かってる。だから……見ていてくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ