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特に何もしない陰陽師  作者: 太刀風居合
第二十一話
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縄張り

あの豚みたいな歴史の排出物がいなくなった程度で、世界はこんなに変わってしまうとは。奴はとことん屑野郎だった、戦闘技術、実践的行動力、作戦を立てる思考力、部下を敬う愛情、努力意識。何を取っても奴にリーダーシップなど無かった。だから奴はあっさり綾文功刀に殺された。


 だが、奴の肩の上にはどれだけの人間の拠り所になっていたのだろう。あんな自分の縄張りでしか生きてこなかった奴に、日本中の陰陽師の魂が集結していたのだ。偶像崇拝という言葉がある、神様のレプリカにも魂が宿るというあれだ。奴の中にはただ一つ、阿倍清明の子孫であるという肩書きだけが奴の中にあったのだ。それだけで奴自身には何の価値もなくとも、いるだけの価値はあったのだ。


 「えっと……内部崩壊? 機関を独自化? 松林を崇拝? 引き籠もり? 何を考えているの? この陰陽師の世界が一世一代に頑張らなきゃいけない時に? 柵野栄助が復活して、あとはあいつだけっていう果てしなくラストスパートに? どいつもこいつも勝手だなぁ!!」


 「柵野栄助? どちら様ですか?」


 もう柵野栄助が俺たちをどうこうしなくても、もう既に綾文功刀の行動だけでもう崩壊寸前じゃないか。あいつもう既に死んだ人間を悪く言うのは気分が悪いが、それでもやっぱり綾文功刀にちょっとイラっとした。顔を思い出してしまった。


 「はぁ、それで。具体的に笠松陰陽師機関はどんな具合に崩壊したんだ?」


 「そこまで教えるのは……」


 くそう、俺が橇引行弓の体のままだったら、このままスグに話を聞けただろうに。やっぱり俺が橇引行弓だと思って貰えない。困ったな、奴から聞き出せれば、ここに隠れている状況に優位に働いただろうに。


 「それで橇引行弓の代わりの人? お名前はなんというのですか?」


 「どうせ橇引行弓とは呼んで貰えないんだろ!! でも……柵野栄助ではないし……。なんでもいいよ、好きに呼んでくれ」


 なんかもうどうでもいい、俺が頑張って聞き出せる情報はここまでか。あとは大人しくリーダーの任せよう、きっと日野内飛鳥の処遇はちゃんとしてくれるだろう。俺の任務はこの学校にいる人間の記憶を消すサポート、この場にいる二人以外にも生徒はいるだろう。だが、鶴見はいなくなったし、追継も動けない。なら俺一人では動けないので、行き止まりだな。このまま飛鳥を見張ろう。


 「では……チャッピーとか?」


 「俺はモンスターか!! いせアメリカ人か!!」


 「……ノリは行弓君なんですよね~。馬鹿っぽいところとか、突っ込みがテンションだけは一流なのに、捉え所を間違えているところとか」


 そうなの!! 俺って皆にそんな風に思われているのかよ。


 

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